忘れられた巨人

ファンタジー本
06 /14 2016
忘れられた巨人
忘れられた巨人カズオ イシグロ Kazuo Ishiguro

早川書房 2015-05-01
売り上げランキング : 67344


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やっと読みました。
白熱教室見たの去年の夏でした・・・。すっごく気になっててでも読む時間と気持ちがなかなか整わなくて。
読んでよかった。

これすごいです。いやもう、今さらなの分かってるけど、この奥行きすごいわ。なんだろ、村上春樹は読み終わった後に真空がくるけど、この小説はごろっと岩がころがってるかんじ。確かに目の前に何かころがってる。でもそれは問題提起とかそういうたぐいのじゃないの。白熱教室で氏がいっていた『そういうことだよね?』っていう概念というか気持ちの塊。
それがさ(すっかりため口)こう読んでいる側の内側に入って記憶を引っ張り出されてる感じ。ステーィブンキングが、内側を引っつかんで引きずり出されてるとすると、この小説は読んでいる間にその手触りを自覚ささておいて、よいしょって最後に引っ張ってくる、意識せざるえないところまで意識上にもちだしてくる感じなんですよ。

わたし全然社会派的に読んでないし、読めないからそれが社会的にどうこつとか、今の現代に…なんていえないんだけど、これは皆知ってて皆言葉にできないでいたのを、認識させて見せられてると思った。これ、なんでいま必要なのか分かる。そしてそれはたぶん今じゃなくてもそうなの、でも今なのって感じなんです。(つまり普遍的なものをいってるってことですね)
これ複線とかいうレベルじゃなく複雑だけど、すごく簡単なこと言ってる。

サクソン人とブリテン人のイメージは、わたしにとってはサトクリフで
ケルトの白馬
ケルトの白馬ローズマリ サトクリフ Rosemary Sutcliff 灰島 かり

ほるぷ出版 2000-12
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とかなのですが、老騎士と若い騎士の対決とか、老人夫婦のやりとりとか、ひとつひとつがとても印象的な言葉のやりとりをします。
それに伴うイメージが情景ではなく心情ではなく感覚的に細やかなのです。これ読んでいて思い出したのですが以前読んだ「わたしを離さないで」でも同じことを思った。わたし「わたしをー」実はよくわかってなくて、でも目が離せなくてサラサラよんだ覚えがあるのですが、この小説も読んでいる間、本から目を離すときになってしょうがなかった。それは物語の筋ではなく、その心の動き方の描写でした。対話している相手がどんな表情になったのか、何を思ったのかが詳細に描かれていて、その心の動きがものすごくわたしにはリアルに感じられていました。ああ、それだけに思っている人(老人だったり、老騎士だったり騎士だったり少年だったり、いま思うと皆男性ですね)が別な何かを考えていることが分かる、表層的な感情を細かく描写しているから深いところの意図というのが気になってました。感覚的に隙のない物語です。

最後はこれ歳とらないと分からないよ。あれは難しいってもう…
ああ語りたりない
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バベットの晩餐会

ファンタジー本
04 /02 2016
バベットの晩餐会 (ちくま文庫)
バベットの晩餐会 (ちくま文庫)イサク ディーネセン Isak Dienesen

筑摩書房 1992-02
売り上げランキング : 52561


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短編で読みやすいとあったので、借りて読書。先に映画を観ているので読みやすく世界にすっと入れます。で、読み終わった後思ったのはこんなにも違う!でした。短編で映画のほうが詳細に描かれているのだろうとばかり思っていたのですが、逆でした。小説のほうが内容が濃い。というか、んー別な意味で詳細に描かれている。たぶん作者は映画ような食事の意図よりも人間性に宿った芸術性について違う考えを持っていると思う。
バベットがパリでの出来事を語るくだり、そして将軍とパパンの人間性(この時代を生きた男性という面も含めて)そしてバベットの性格。プロとしての芸術家としての誇りプライドがきっちり描かれている。
将軍のような人たちに私の技術は認められてきたがその人たちによって夫と息子を奪われたバベットがいかにいきるか、どこで自分を生かすかをどう考え行動するのか、したのか、それがすべて彼女の晩餐に現われいる。

p91 「いいえ、わたしは貧乏になることなどないのです、お話しましたように、わたしはすぐれた芸術家なのです。すぐれた芸術家が貧しくなることなどないのです。すぐれた芸術家というものは、お嬢様、みなさんにはどうしてもお分かりいただけないものを持っているのです」


エーレンガートというもう一つの物語もすごく面白かった。この人はなんだろう、何を知ってたのかな、どう生きたのかなってのが気になってくる。画家のカゾッテ氏から語られる芸術家のくだりが面白い。この話ある王族の話なんですが、一つ一つの物語の断片がものすごく人間くさくて面白い。エーレンガートは最初、端役のような従女なんだけど、どんどん魅力的になってくる。乳母とその夫との情の流れも面白い。メロドラマなんだけど、よく知ってる身近な陥りやすい情に彩られていて、物語を近く感じました。その点でいうとバベットーも食べる(不思議なものでこの物語のなかであまり献立について語らない。それに食べている人も料理について感想をあまり述べていない。それなのに食事で明らかに変わった人間の行動について語っている。映画にはなかったけど、信者の人たちは食後雪の降りそうな夜に外で駆け回り、子供のようにはしゃいでいます。そして翌日は大雪が降って誰も午後まで外に出てこなかったというエピソードまでついている)ことを通して人間の感情について語られている物語なんだなと思います。

あとがきに時代を超える物語であると書かれているのに同意しました。


追記:バベットーでパパン氏がフィリッパと歌の稽古で歌う歌がモーツァルトのオペラ「ドン・ジョバンニ」の曲
エーレンガートではカゾッテ氏に女性は誘惑すること男はそれに答えることで芸術が成立しているのだというくだりが面白かった。女性は自分の魅力を充分わきまえた上で男性に誘惑しているではないか、それを愛で答えることが男性の意味なのだという言葉を女性のディーネセンが説いているのが面白いなと思った。男女の違いやおろかさをこの人はよく知っていたんじゃないかしら、と思ったりした。

シュナの旅

ファンタジー本
10 /11 2015
シュナの旅 (アニメージュ文庫 (B‐001))
シュナの旅 (アニメージュ文庫 (B‐001))宮崎 駿

徳間書店 1983-06
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この間FMでこのドラマが放送されて気になって読み返してみました。これを始めて読んだのはナウシカのあたり、私が中学生のころだったと思います。物語として普通に何気なく(当時はナウシカの環境問題やオウムのほうが印象が強かった)読んでいました。
こう振り返って読んでみると、確かに「ゲド戦記」や「もののけ姫」の前段階要素がたくさんみられます。
ゲドーはこちらを観てから見たほうが納得したかも。原作とあまりに離れていたので、その根拠が知りたかった。
読んだ当時も思ったけど。宮崎氏の漫画を読んでると贅沢な気持ちになります。当時はアニメ-ジュにナウシカ連載してたんだよなぁ

クラバート

ファンタジー本
06 /16 2012
クラバート(上) (偕成社文庫4059)
クラバート(上) (偕成社文庫4059)プロイスラー ヘルベルト=ホルツィング

偕成社 1985-06
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クラバート(下) (偕成社文庫4060)
クラバート(下) (偕成社文庫4060)プロイスラー ヘルベルト=ホルツィング

偕成社 1985-06
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ジブリ美術館に行ったとき、中にある本屋さんでお勧めとして棚に並んでいた本を読書。
少年の顔と鳥の(カラスの)胴体がこわいけど面白そうとずっと思ってました。古本屋に状態のいいのがあったので買っておいておいたのを読みました。

水車小屋で働くクラバート。親方と弟子達と暮らすことは楽ではないが実りの多い生活です。が、しかし…。水車小屋で働くというのは表向きで、親方は弟子に魔法を教えてくれます。水車小屋には他にもいろいろ秘密があって…。魔法学校というより、師匠弟子との関係です。
そこには体を動かし働く事の大変さと喜び、十一人の仲間の人との関わり、親方のずるがしこく必要なことは教えない人間性があります。クラバートは何も知らない少年から、人を信頼すること疑うこと、秘密を受け入れることあばくこと、束縛と自由を徐々に学んでゆきます。
一年に一度のお祭りの楽しさ、仲間のずるさ、優しさ、外の世界の魅力をさりげなく美しく描いている。水車小屋を出ることは魔法を失うことで、それは新たな世界の始まりになる。成長し殻をやぶってゆくクラバートの流れが読んでいると穏やかに想像できてゆっくりと味わいながら読み進んだ。最後がいい。シンプルだけど作者の伝えたいことがそのままぽんと現れてると思った。大切なことといわれずに大事な物を差し出されたような印象を持った。


読んでいる間
千と千尋の神隠し (通常版) [DVD]
千と千尋の神隠し (通常版) [DVD]柊瑠美

ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント 2002-07-19
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を思い出した。構成がよく似ている。クラバートのもとになった話が母子の愛の民話(伝説)だったということからもつながりを感じた。クラバートで現されている愛と千と千尋のーの愛は違うけど、主人公が成長してゆくという点ではにてるなと思いました。

トワイライト

ファンタジー本
04 /26 2012
やっと読み終わりました。
順序は読んで(観た)順です。
原作読んでDVD観てまた原作読んで…というかんじで最終章まで読み終わりました。


トワイライト・サーガ/ニュームーン [DVD]
トワイライト・サーガ/ニュームーン [DVD]
角川書店 2011-11-25
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トワイライトIII 上 (ヴィレッジブックス)
トワイライトIII 上 (ヴィレッジブックス)ステファニー ・メイヤー 小原亜美

ヴィレッジブックス 2009-07-10
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トワイライトIII 下 (ヴィレッジブックス)
トワイライトIII 下 (ヴィレッジブックス)ステファニー ・メイヤー 小原亜美

ヴィレッジブックス 2009-07-10
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トワイライト・サーガ/エクリプス [DVD]
トワイライト・サーガ/エクリプス [DVD]
角川書店 2011-11-25
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トワイライトIV 最終章 (ヴィレッジブックス)
トワイライトIV 最終章 (ヴィレッジブックス)ステファニー・メイヤー 小原亜美

ヴィレッジブックス 2010-04-10
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前回の感想書き込みからいろいろ思ってたことがやっと書ける。うまくかけるかな、感想です。

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クリスマス物語

ファンタジー本
01 /12 2011
クリスマス物語クリスマス物語
マルコ・レイノ 佐竹 美保 末延 弘子

講談社 2010-11-02
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クリスマスの物語。年末に図書館で借りてやっと読むことができました。良かった。フィンランド作家の書いたクリスマスのお話。24章からなっていて12月に入ったら一章づつ読むといいです。子供に夜読み聞かせるのにぴったりなお話。ニコラス少年の一生の話し。物語をたどりながら深々とした気持ちになってゆきます。
実は読みながら何度も泣いてしまいました。ニコラスの運命とそれに負けず宿命を全うする姿に胸が熱くなりました。
どんなときも真っ直ぐに真摯に生きようとする姿を通してフィンランドの人の性格気質を感じた一冊。

宗教色は薄く人としてどう生きるか生きていくべきかと、幸せを問うこの物語は日本の私たちになじみやすいと思いました。
ともすれば何かしてもらうことばかり考えてしまうこの頃ですが、人に与える喜び、つくした後にくる大きな贈り物を忘れてはいけないなと思いました。

この表紙のニコラスがいいです。読み進むうちにこの場面に何度も胸をうたれました。挿絵も素晴らしかった。

トムは真夜中の庭で

ファンタジー本
09 /20 2010
トムは真夜中の庭で (岩波少年文庫 (041))
トムは真夜中の庭で (岩波少年文庫 (041))フィリパ・ピアス スーザン・アインツィヒ

おすすめ平均
stars美しく、上質な物語
stars心が洗われる作品
starsすごいです
stars女流作家による文章の美しさを楽しむ本
starsオッサンの目にも涙!

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読みたいと思いつつ先送りになっていたファンタジーを読書。お友達に勧められたのもありました。グリーンノウの子供達みたいなのかなと思ったら、そうではなく、時間の次元を考えるお話でした。
トムは弟がはしかにかかってしまったので、夏休みの間おじさんの家にお世話になります。お屋敷を改装して間貸ししている邸宅に住んでいるおじさん。その一室で寝ていると夜ホールにあった大時計の鐘が13回なります。なんだか不思議におもってホールへと降りてみると、そこは美しい庭へと繋がっていたのでした。

夜庭で散策するトムと一緒に庭を楽しんでいると色々な出来事があり、それが段々一つの物語となってゆきます。最後はとても素敵でした。時間の概念をトムが自分でかんがえるところや、自分の時間、他の人の時間の流れを考える事によって、他者の気持ち考えを感じてゆくところがよかった。そして友愛で結ばれていく様子がとても微笑ましかったです。最後は胸がいっぱいになりました。
読んでよかったなぁと思う本でした。

月夜野

東京下町在住・本・建築・ハチロク好き