百年の孤独

現代小説
10 /29 2016
百年の孤独
百年の孤独G. ガルシア=マルケス Gabriel Garc´ia M´arques

新潮社 1999-08
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やっとやっと読むことができました。
もう何年読もうと思って読めずにいたんだろう。10年以上前だったなぁ。新訳も2006年に出ていて、新訳といいつつ前のままなんですが、それでも読みやすかったです。最初にぺージにブエンディアの一族の家計図が書いてあるから、それ見直しながら読み進んだ。これ読みやすいって言ったけど、最初は読み進みが遅かったです。妻ウルスラとホセ・アルカディオ・ブエンディアの二人が作る生活というか歴史というか不思議な夫婦の生活が暫く続く。不思議な夫ホセ・アルカディオの生活はやがてその子供達に受け継がれてゆく姿を100年にわたって描いている。
これ最初どう読んでいいか分からなかったんだけど、マジックリアリズムといわれているジャンルで、不思議な出来事の間に戦争や街の衰退、自然災害など織り成されている。
殺した男が亡霊となって遠く離れたマコンドの街に現れて会話したり(しかも死者は殺したホセを懐かしんで会話がしたいといってくる)寂しさから土壁を食べる女性が美女だったりと、不思議な個性や出来事がどれもどこか腑に落ちるというか分かるんです。登場人物一人一人の感情や行動に共感、感動してしまう自分がいました。読み進んでいて面白いなと思ったのは、ドフトエフスキーなどの作家はすぐ傍に作者の存在や息使いさえ感じることがあるのですが、これは作者マルケスの気配を感じなかった。もっと透明感があるように感じたのは、この小説に登場する人物ではなくマコンドという街の姿を描いているからなんだと途中から思いました。一人一人の人生は複雑で儚く、起きそうな出来事が次から次へと起きます。それが納得でき面白くて読むのが楽しかった。しんどかったけど楽しい読書でした。これ遅まきながら今年の一番かもしれない。いまさらなんですが、多分買った当初に読んでも半分も理解できなかったと思う。今だから分かるディテールがあります。
アウレリャノの人生が重く深いなぁ。あと生ききってるなって思うのはウルスラですね。夫のホセは最後なんだか木につながれちゃってもうおかしくなってしまうんだけど、(これがなんというか夫に似てる。男の人ってこういう部分あるよなぁっていう性格がでている)亡くなった後亡霊になって妻のウルスラが相談したり木の下にいる彼のもとで泣いたりする。
それからこの一族の女性陣もすごい。女性ならではの執着と嫉妬と呪い、その反面あけすけな人も途中からなんだか吹っ切れて大らかに生きる人もいる。財産ないとか男が働かないとか天候が一向に良くならず環境が最悪なままと愚痴っているより、さっさとやれることはやって後は面白おかしく生きようよってスタンツのほうが結果幸せになれるんだろうな、そのほうが勝ちなんだろうなって思ったりした。メレディオスとかアマランタとか不幸だよなぁ。熱烈な恋をしたからといってそれが確実な愛になるわけでもなく、情けない男は情けないまま、女はこちらはこちらで生きてゆくしかないんだなって思ったりした。

と、こんなことをついつい考えてしまった面白さでした。後半は汽車が走ったり、政治が始まったり、農業がさかんになったりと街が繁栄してゆくんだけど、それにあわせて世界が広がり一人一人の描写が薄くなってしまい、なかなか想像できなくなった。あとがきにも書かれているけれどつじつまが合わないところがいくつかあって、話も前後しているので、この出来事がこのことかな?とぺージを前後しながら読み進んだ。しかしそれを差し引いてもこの小説はすごい。ノーベル賞作家の作品を私がいうのもおこがましいのですが、世界観が世界の表現のしかたでこんなに個性的なのはほかにないと思いました。面白かった。

私が特に面白いと思ったのは、ちょっとした出来事に書かれた叙情的な部分です。殺される前にアルカディオの考えたことやアウレリャノのひらめき、町の人の話に誰がどんな反応をしめしたか、そんな些細な表現がどれも重くそして納得できるくだりで、読みながら人間は感じていることは皆同じなんだなってことでした。それが瑣末であればあるほど人間味が出てくる。そしてそんなことに翻弄されることはくだらないし恥ずかしいけど、皆そうなんだなと、そんなものすごく当たり前のことを感じたりしました。

最後は壮絶でした。サンタソフィアとピラルの間におきたことはクライマックスというにはあまりに破壊的で同時に賛歌になっていると私は感じた。混沌とした感じがよかったです。長い小説の醍醐味を久しぶりに味わいました。

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百年の孤独というのは焼酎の名前になっていると知り、早速呑んでみました。
40度の強いお酒でした。小説と同様強烈なパンチの効いた、呑んだことを忘れない強い個性のお酒でした

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娘役

現代小説
10 /29 2016
娘役
娘役中山 可穂

KADOKAWA/角川書店 2016-04-27
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男役に続いて娘役が出たので早速読みました。日比谷の宝塚劇場近くの本屋さんにあったのでこれは読まなくては…と楽しんで買い読みました。読了したのは九月ですっかり時間がたってしまったのですが、ここに記録します。

前回の男役とは違い主人公は娘役の女の子とヤクザです。このヤクザの視点で進みながら娘役の野火ほたるの成長をたどるストーリー中山さんらしいドラマティックな始まりと終わりが印象的でした。あとがきに本人も書かれていたように片桐さんがかっこよすぎる。細やかな気配りと大胆な行動、人を率いることにたけていて、なのにどこまでも腰は低い。そんなかっこいい片桐さんが結婚せず、女もつくらず宝塚の娘役を大切に思っているというギャップが面白く、またそのマニアックな世界に不思議とマッチしているお話でした。

この片桐という人はケッヘル
ケッヘル〈上〉 (文春文庫)
ケッヘル〈上〉 (文春文庫)中山 可穂

文藝春秋 2009-05-08
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を思い出した。

この人の男性の書き方が変わったなぁと感じました。距離が近くなった感じがします。前までは敵だったのに、変わったんだなぁって思いながら読みました。と、同時に男性の乾きが足りない感じがしたかな、でも他はすごくよかった。娘役ののび太や、稽古場の様子、役者さんの大変な様子に今回も酔わせていただきました。いつも感じるつめつめなところもあり、一気に楽しく読みました。コンスタントにこうやって好きな作家の新作を読めるのは幸せです。次も楽しみです(><)
建築家に安藤忠雄が確かでてくる。街の様子など関西の空気を感じました。向こうに住みたくなってきたなぁ。

アルケミスト Anniversary Edition

現代小説
09 /03 2016
アルケミスト Anniversary Edition
アルケミスト Anniversary Editionパウロ・コエーリョ 山川 紘矢

KADOKAWA/角川書店 2014-11-28
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「ベロニカは死ぬことにした」や「11分間」の著者パウロ・コレーリョの小説。丸の内丸善をふらふらしていたら目に留まって買いました。
最近本屋さんで本を買うことがめっきり減ってしまいました。自分の頭も堅くなってるし、いろいろ読みたいのになかなか機会がありません。つい同じ本を読みかしたりして、何事にも億劫になりがちです。老化です老化現象です。こうやって、ふらっと惹かれるものを感じて本を手にとるのって、とても大切なんじゃないかと思います。本人が望む以上に、なんか、最近固定された情報ばかり手にとってる感じがするのです。前置き長くなりました。

この本読み終えたのは一ヶ月ぐらい前で、すごく面白かったという印象は残っているのに、じゃそれはどこが?と自分に問いなおすと分からなくなってしまいました。内面の旅を描いています。そして深く広い。スピリチュアルな世界が分かりやすく描かれています。自分の人生を自分のものにする。世の中そんなにうまくはいかないけど、自分の人生を自分のものにした瞬間に、人は自由になるのではないかと、そう感じた一冊でした。ものすごい漠然とした感想ですね。自分でも面白と思います。ここに書かれていることも、物語ではありますが、どこをどう読み取るかで読んだ印象が変わります。多分、読んで何を言っているのか分からない人もいるとおもう。そしてマイナスにとらえる人もいるとおもう。この本をどう読むか、読み手にゆだねられています。そういった意味では現代の聖書なのではないでしょうか。改めてこのコレーリョさんって不思議な人だなと思いました。以前に上記の二冊を読んでいたのですが、よくわかっていなくて、履歴をさがしたのですが、ないのでずっと昔なんだろうなぁ、死ぬ前にーは映画にもなっていましたね。

一通り読んで、印象に残った一節がいくつかあったので読み返したのですが、みつからない。これは読み通しているなかで一文一文が光っていたのではないかとおもいます。錬金術師との会話、飴屋やガラス屋とのかかわり方、人と物と羊との関わりかた、この物語の中で言われている宇宙のイメージそれらは全て多分一つになっていいる通底している部分があるのだと思う、ここらへんの謎が解ければもう少し分かりやすい感想が書ける…はず(笑)

くり返し読むことになりそうな、そんな一冊です

エヴェレスト 神々の山嶺

現代小説
07 /22 2016
エヴェレスト 神々の山嶺 (角川文庫)
エヴェレスト 神々の山嶺 (角川文庫)夢枕 獏

KADOKAWA/角川書店 2015-10-24
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4月1日に映画を観て原作が読んでみたくなり、図書館で予約していたのがやっときて読書。二ヶ月半くらい…あ、でも人気の本だったので早かったほうです。はい。
窓口で1000ページ超える文庫だったので「読み終わるかな・・・」って思わずつぶやいたら、図書館の人に「夢枕さんのはすっと読めますよ」って言われて、ほんとに~?って思ってたのですが、何とか二週間以内に読むことができました。
映画で不思議に思っていた部分や、モデルとなっている森田さんとは違っている物語の部分を感じていたので、そこらへんがどう集約されているのかなと、それを映画の内容思い出しながら読みました。
1000ページの小説をぎゅっと短縮したのですから、物語りも随分違っていました。あとがきが3回書かれていて、そのたび暴露していることが違うのが面白い。今だから話せると三回も書かれるというのはこの小説に対する思いいれが強かったのだなと改めて思いました。

小説は終盤のほうで、多分作者自身が泣きながら書かれたのだろうなと思うシーンがいくつもあり、物語を盛り上げていました。男のロマンなのかな。女性側からみるとこのどうしようもない焦燥感というのは持って生まれた人とそうでない人がいるのかな、とも、またその気持ちが強い人がいるのだなとも思いました。
何かを好きな人って対象物じゃなくてそれ自身に同化するなぁ。抽象的なことを言ってしまいました。そんな感想です。
夢枕さんの小説は始めてなのですが、読みやすくまた状況が浮かびやすくいいですね。他のも読んでみたくなりました。
山登りの時の細かい雪の動きや風の様子。頂上と地上の間にあって思うことの描写がよかったです。ほんとうはもっとすごいのだろうけど、一緒に山に登っている気持ちになりました。この熱い今の季節に読むのいいいかも

エベレストに関わる国や人、自然の変化やその考え方なども書かれていて参考になりました。ここらへんの文化の違いによる摩擦みたいなものは行ってみないと分からないだろうし、また年によっても変わりそう。

羽生さんは阿部さんのままのイメージでしたが、深町は岡田くんてのはかっこよすぎでしょう(笑)あとがきにもあるように、作者近いですね。そして羽生さんの苗字の由来も納得。色んな作者の思いがつまっている分内容が濃く、想いがダイレクトに伝わってくる小説でした。

DVDでたらまた見よう

一九八四年[新訳版]

現代小説
05 /03 2016
一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)
一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)ジョージ・オーウェル 高橋和久

早川書房 2009-07-18
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やっと読みました。ああ、ほんとやっと読めた(笑)家にどのくらいあったんだろう。どこかにしまいこんでは引っ張り出し引っ張り出しして目に見えるところにおいておきながら読んでなかった。見ると2009年の三刷目の文庫なので五年以上はたっていると思われる・・・フルタイムで働き始める前に買ったんだな・・・そしてそのまま読む時間を失っていたんだなぁ。
で、やっとよみました。
面白かった。こんなに面白いならもっと前に読んでおくんだった。ぜんぜん、ぜんぜん古くない、すごい、すごいって言われる意味が分かった。どうして読もうと思ったのかは村上春樹の小説からなんですが、あまり繋がりが分からなかった(あほです)
この本のすごいのって、言ってることが古くない。で、そう感じるのは新訳の影響もあるんだと思います。新訳ってだいじ…(最近

村上さんのところ
村上さんのところ村上 春樹 フジモトマサル

新潮社 2015-07-24
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を読んだのでなお力説

最初のほうは面白くない・・・といわれていますが、(わたしは40ページぐらいまで読んで何度も挫折してた)もう少し先まで読むと俄然面白くなります。静脈瘤がどうこうとか、やたらじじむさい主人公で、ぶつぶつ言っててやたら悲観的なわりには反抗心ばかりもってて、挙句に自分は特別だなんて思ってる・・・そして反逆者まがいな行動をとっていい気になっている…ように見える、そうです。主人公に同化しながらものすごい客観的に物語を読んでいる自分を発見するのです。愛してしまうよになる女性ジュリアも最初は、なんだあの女なんて思ってるけど、自分を好いていると分かるとぞっこんになってしまうし、そして静脈瘤さえ忘れてしまうほと元気になってしまう。オブライエンとの関係や、周りの人との関わりに関する感情がどれもリアルで、現代とまったくかわっていないように感じます。
ウィンストンの善良なふりをして実は悪意を隠している部分や偽善それはどれも今の人にも自分も持っているよく知っている感情と情の流れ、それをオリジナリティ、個性だと勘違いしている主人公を通して気付けば自分がより深いところでいろいろなことを感じ考えていることに気付かされます。
101号室の怖さ、そして洗脳をうけることの意味、違うと声を上げることの重々しさ、理屈や理論は語れないけど、巧妙に仕組まれた組織(世界)の成り立ちというのを漠然としかしひしひしと感じ始めた今だからこれだけ面白いと思ったのかなぁと思ったりもしました。

未来世紀ブラジル [Blu-ray]
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思い出したなぁ

青と白と

現代小説
04 /07 2016
青と白と
青と白と穂高 明

中央公論新社 2016-02-24
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図書館に行って新刊コーナーでみて借りてきてふらっと読み始めて一気に読んでしまいました。
ぱらぱらとみたとき文章のかんじがよかったのと、東北の震災について語っていることに気がついたので、ちょっと読んでみたくなったというのが動機。

東京で一人小説を書きながらくらす姉と被災地にくらす妹夫婦と父母祖母、家族の物語。3.11のできごとを遠くから近くから絶妙な距離感で語っています。その空気感は一緒に日本というこの地で体験したからこそ分かる親密さで伝わってくる。読んでいると当時のことを思い出し、ああこんな感じだったよなぁって思いながら読める。つまり小説を読んでいながら自分のなかの物語も同時に体感するようなそんな現代小説でした。
大きな地震という出来事を内側から外側から感じることができました。
読んでみて思うのですが、やっぱり東京というところはああいうところなのですかね(笑)私も日々体感しています。人の立場にちょっとでも立ってはくれない。まるで他人のことを考えると負けみたいなかんじのところがある。そのくせ幼くてすぐによりかかりたくなる。プライドが高い分ひどく意固地(これは小説に書いてません)そんな印象をもっていたので、東京でのくだりはとてもしっくりしてしまった。

物語が進むつれ、母の想い妹の想いが分かってくる。だれもがそれぞれの立場で故人を想い支えあっているという姿は、物語をたどることで心が温かくなりました。死を思う、故人をいつくしむ、悲しい出来事があったからこそ、その想いは深くなるということを改めて感じました。
亡くなった叔母の出来事からは時間が、妹の仕事から市政が、争議の場面から地元性を感じました。特にタクシーの運転手さんがどれも素敵です。こんなこと本当にあったんだろうなあ。喪服についてのくだりは以前「遺体

遺体: 震災、津波の果てに (新潮文庫)
遺体: 震災、津波の果てに (新潮文庫)石井 光太

新潮社 2014-02-28
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を読んだときにもあったなぁ。

ラストのひたむきな思いもよかった。五年たったから考えられる出来事の側面を考え直す時間を機会を与えてくれる一冊です。小説は、物語はこのためにあるんだなぁと思わせてくれる物語です。

赤いヤッケの男

現代小説
03 /19 2016
夫から借りて読んだ本
怖い話を読みたいといったら読んでいた本を貸してくれた。

赤いヤッケの男 山の霊異記 (幽BOOKS)
赤いヤッケの男 山の霊異記 (幽BOOKS)安曇潤平

メディアファクトリー 2008-02-27
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山の遭難話の本です。短編がいくつか入っていて、どれも現代の山であった不思議な出来事が書かれています。私は山登りはしないのですが、ぞっとする話がいくつもありました。しかし中にはちょっと創作かなぁと思うのもあって、でも山でおきたことって分からないからなぁっておもいかえしたりして、そんな感じで読みました。
現代の文明から離れた山の中での出来事は海や宇宙で起きたことと同じくらい不思議で何が起きてもおかしくないと考えているので、最後はやっぱり怖かった。
人の想いがどこまで残るのかなぁとも考えた本でした。短編なので読みやすく楽しかった。

月夜野

東京下町在住・本・建築・ハチロク好き