ぼくが消えないうちに

児童書
01 /28 2017
ぼくが消えないうちに (ポプラせかいの文学)
ぼくが消えないうちに (ポプラせかいの文学)A.F. ハロルド エミリー グラヴェット

ポプラ社 2016-10-04
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大手町丸善でレビューを観て読書。面白そうな題名とこの絵が印象的だったので読んでみました。実は最初の数ページで1週間くらい読めなくなっていました。少女アマンダが結構わがままなところと、想像の初年ラジェーが内向的なところが入りにくかったのですが、暫くしてから読み直すと、独特の世界観があり、それはどれも嘘をついていなくてひきこまれました。
夢見がちなアマンダの破天荒な個性、自由で我侭だけど他人の存在を認めていて否定しない。アマンダのママも変わっているけど、ないがしろにしない心を持っている。
この本を読んでいて私はたくさんの空想の友人がいたことを思い出しました。時に応じて実に何人もの空想の人を作ってともに過ごしてきました。弟の病院通いに付き合い何時間も待合室で静かにしていなければならなかったとき、親の虐待や罵りにあったとき、孤独なときはいつも想像の人達とお話していました。今だって、こうやってブログに文章を書きとめるとき、見えない誰かに話しているような気持ちでいます。
そんな昔はいた頭の中の人達を何人も思い出しました。そしてこの思いださせてくれたのが、この本のおかげで意図だったのだと悟りました。物語はきらきらと輝いていた子供の感性で描かれています(だから最初読んだ時に我侭な印象を持ったのです)ああ、こんな新鮮な感覚を昔はもっていたのだなぁと、懐かしく思いました。子供だから見えていたもの、世界が広いと思ってその狭さに気がつかなかったときの事を思い出しながら読みました。そしてそう思うのは多分いまも変わらないのなかと大人になっても忘れていないことはそういうことなのかもとかぐるぐる思いながら読み終えました。
作者が詩人であることがこの不思議な文章になっているのだなと感じながら読みました。面白い奥行きと展開がまっています。お勧めの本。
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つづきの図書館

児童書
08 /27 2016
つづきの図書館
つづきの図書館柏葉 幸子 山本 容子

講談社 2010-01-15
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図書館で児童書の棚の上にディスプレイされていたのを見て読書。佐野洋子さんのあじのある絵と題名が気になったので読んでみました。
本を読んでいた読者を本の中の主人公たちがさがしに飛び出てくるという物語。最初ははだかの王様で、青田早苗ちゃんを探している。それを新しく司書として図書館に来た桃さんが聞き懸命に探す姿は穏やかながらも、なんとか彼らの力になりたいという必死な気持ちが伝わってきます。
オオカミやあまのじゃく、はては幽霊まで、一人で暮らす桃さんの家に押し入ってあれやこれやと聞き出しては、かつて子供だった読者だったり、悩みを抱えた女の子だったりに行き当たる。そして読者たちの心の傷を癒してゆく、それは同時に絵本や本の中の登場人物を癒してゆくことにも繋がっている。
話がとんとんと進み、面白い場面も多く楽しく読みました。そして読後は心がほっこりします。いい物語です。
ちょっとした場面で桃さんの心がきゅっとなる場面があり、なぜかなと心にひっかかっていたのですが、それは最後の話で桃さんの過去に繋がっています。最後はちょっと泣けました。子供に対するまなざしや、同居することになってしまった絵本や本の中の彼らになぜ優しいまなざしを注いでこれたのか、その謎が最後にわかります。

しかし子育てはなかなか難しいものです、大人が思っていたような正義やよしとするものがない現代に、なかなかどの状況が最善かなんて分からない。ましては未来をみこしてなんて、大人は何もできない、ある意味では子供より無知だったりします。そんなことを頭のはしっこに置きながら幸せなこの物語を読みました。

霧のむこうのふしぎな町 (新装版) (講談社青い鳥文庫)
霧のむこうのふしぎな町 (新装版) (講談社青い鳥文庫)柏葉 幸子 杉田 比呂美

講談社 2004-12-16
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この本の作者ですね

さようなら、オレンジ

児童書
05 /04 2016
さようなら、オレンジ (ちくま文庫)
さようなら、オレンジ (ちくま文庫)岩城 けい

筑摩書房 2015-09-09
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前から読みたいとおもっていた本二冊目(一冊目は「1984」でした)
課題図書になっていた時から気になって図書館で借りたのですが、最初で挫折して文庫になったときに買っておいたのを読もうと思って見えるところにおいて早…という月日を経てやっと読めました。(最近時間があるときはある生活になりました)

最初挫折したきっかけは、導入部分のサリマがシャワーを浴びるシーンで血の着いた作業服をいやだと思っている場面を読んだときでした。血が常時ついた作業を着て仕事をするというのが怖くて(生肉売り場で働いているという描写はまだなかったので、てっきりわたしはこのサリマという女性が毎日血を流す仕事をしているのかと思って怖くなったのです)

こわごわ読み始めたのですが、怖い小説ではなく新しいタイプの小説だってことがわかってきて、あっという間に最後まで読んでしまいました。もっと早くに読めばよかった(笑)新しい土地で第二の祖国を生きる二人の女性の話。そこではいろんな差別があり、劣等感がありなじめない心情がある。でも強く生きていく姿がたよりまくも力強く、繊細ながらも堂々と物語が展開してゆきます。
サリマという女性が英語を勉強しながら自分について語ることばを探し学んでゆく姿がとても素敵でした。英語を習得する難しさと勉強をする喜び、個性の差が生み出す人間性の幅の広さなどを読んでいて感じました。

オレンジは朝日であり夕日の色なんですね。美しいと思う心と自我を確立する心は繋がっていて、またその情感を無理なく流れるように表現しているところがよかった。学ぶ面白さをまた体験したいと思った本でした。学ぶことの尊さを感じる一冊

14歳の水平線

児童書
11 /01 2015
14歳の水平線
14歳の水平線椰月 美智子

双葉社 2015-07-18
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この間子どもが14歳になって、新聞の書評でこれをみたので読んでみることに。14歳の加奈太と父の征人。夏休みに実家である天得島へかえりすごす親子の物語。父の14歳の時間と息子の今の時代が交互に描かれ昔の島と今の島の歴史を同時に感じながら、中学二年生という特別な時間軸を膨らませている作品。この時期独特のやるせない気持ちや、言葉にならない行動感情を表している。自分でも育てて思うのだけど、まだまだ幼い部分と、一人で考えは始めている部分があって、親としてそれに水をさしちゃいけないなとは思っているんだけど、なかなかつい観てると言葉にしていってしまう。加奈太をもどかしく見守る父とどう距離を保っていいのかわからない二人に、子どもだけのキャンプの話がもちあがる。子供同士で大人の観ていないところでいろいろあって、それでもなんとかなって…というくだりがいい。最後に住所とか交換してもきっともうこんなふうには会わないんだろうなと回想する部分とか、現実感があった。途中インディージョーンズやフットルースなど、懐かしい映画の題名もでてきた。

光圀が思考について語るくだりが印象に残っています。
何も考えないってことが難しいときは思考を流していくといい、と彼はいいます。ヨガでならったとかで、湧き出る考えを次から次へと流し、あたまをすっきりさせるというもの。これやってみようと思います。滞留する思考はいいものを生みませんね。

最後の胡弓引き

児童書
02 /21 2015
最後の胡弓弾き
最後の胡弓弾き新美 南吉

2012-10-01
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先月新見南吉の生家を見に行き、周辺の町を歩いてきました。そのなかでこの物語の舞台になった建物を訪れ、そこでミニ本を買ったので読書。ごんの贈り物というミニ文庫で、持ち運びできて気軽に楽しむことができてよかったです。
昔は旧正月に胡弓引きが里をねりあるいて小銭をかせぐという風習があり、胡弓の魅力にひかれた木之助の話。
南吉の話はどれも細かな部分が大好きでついつい読んでしまうのだけど、この物語も鼓を持った松次郎や、家族、味噌屋の主人との交流がいい。初めての胡弓弾きから最後の胡弓引きまで短い文章のなかにも時間の流れを確かに感じる密度で、それが”分かる”ってことは自分も歳をとったのかなぁと思ったりした。ほかの作品と比べ最後が寂しいかんじがするのは、彼が再び物語を書き始めた最初の作品だったからかなぁ。

おじいさんのランプといい、近代化の影になくなってゆくものを尊ぶ気持ちが現れているところがすばらしい一冊です。

百姓の足、坊さんの足
百姓の足、坊さんの足新美 南吉

2015-01-10
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青空文庫で読んだ短編。百姓の足と坊さんの足はそれぞれ悪いことをします。それによって百姓の足にはばちがあたるけど、坊さんの足にはばちは当たらない。百姓ははじめそのことを恨みますが、だんだんなぜ自分の足だけが痛くなるのかその理由をさとります。
彼は素朴に自分の罪に気づき、坊さんをうらやまくなります。そして身を低くして生きる。この話はまったく関係ないのかもしれないけれど、生きていていいんだよと訴えかけられているように私には感じます。自分のありか、考えることによって気づく物事のたいせつさを感じる短編です。

新美南吉童話選集〈1〉

児童書
12 /26 2014
新美南吉童話選集〈1〉
新美南吉童話選集〈1〉新美 南吉 黒井 健

ポプラ社 2013-03
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休みの間に新美南吉の生まれた土地に行く予定なので、改めて読んでみることに。童話なので短い時間に読むことができ、そしてこの人の物語はどれもほっとするので忘れていても時々ふっと読みたくなる。「でんでんむしのかなしみ」なんて満員電車で読むとしみじみしてしまいます。
一巻目なので有名な童話ばかりですが、私がこの本の中で特に好きなったのは、「みちこさん」でした。よそのお母さんが乳母車の中を片付けている間に抱っこして手伝うみちこさんのお話し。その赤ん坊を抱いた時のにおいや感じ、重さを心の中に抱きとめて、子供を抱っこした形のまま家に帰るとお母さんは、みちこさんはいいこだな、と思うというお話し。直ぐにゲームや結果を求めてしまう現代にはないこのおだやかで温かく優しい感じを、忘れてはいけないと思うのだけれど、そんなことを言っていると働け働けのこの国では母をやっていけないのです。いいものや目に見えないものを抱きとめる時間のゆとりがほしい今の生き方をついついこの人の童話は考えてしまいます。
「うまやのそばのなたね」では花が咲く様子を目をぱっちり開けると表現しててかわいかった。

月夜野

東京下町在住・本・建築・ハチロク好き

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