きっとここが帰る場所

映画
07 /29 2012
チラシを一目みて、観てみたい!と強く思った映画を観てきました。引退したロックシンガーの役のショー・ペンが青空の下、雪原を背にこちらを見ているチラシでその表情と風景がたまらなくいいかんじがして、題名も好きになって観てみた。もうこれだけのわくわく感を持ってして大成功な(?)映画でした。

ショー・ペンは「ミルク」を見たときに、独特な孤独感をもつ演技だなぁと思って、どんな人なんだろうとずっと思ってた。多分本物のミルクとは違うんだろうけど、彼が宿していた孤独感が画面から伝わってきたと感じたのです。今回もだめだめな年老いたロックシンガ-、シャイアンの孤独を演じてる。シャイアンは危なっかしい人だけど常識がある(ここらへんボウリングフォーコロンバインにでてたロックシンガーの人を思い出す。本物のロッカーって多分常識人なんだろうなぁ)。だけどどこか壊れてる(笑)その面白さがあった。

カート引いてショッピングモール歩いて、知らない(シャネルバックもった)女の子に出会い頭に笑われる。そのときはだまってるけど、ちゃんとしかえしする。陰険とも思える繊細さ、傷つきやすさを持ちながら、独特のセンスで生きてるシャイアンは不思議な魅力にみちていて、何をしても憎めない、ずるいくらいに憎めないいとおしさがあった。シャイアンは殆ど泣き叫んだり怒ったりしないのに、何度も泣けました。二人の兄を亡くした娘の家から帰るときの表情があまりに悲しくて、なんだか彼が泣けない分自分が泣いてるようなそんな涙が何度も出ました。怒ったりしない、泣いたりしない、でも激しい怒りに生きてるシャイアンの何に絶望しているのかも分からない姿は、カートを引きずり歩いているその姿だけで目が潤んでしまいました。そんな彼の人生は父の死によって変わってゆく。

最後すごかった。男三人の表情の変化がそのシーンの空気感をかもしてた。あの表情ひとつひとつをどう感じるかで物語りはぜんぜん違うと思う。私はすがすがしくはならなかった。ただ人として生きることの意味よりいぜんにもっと前に感じることがあるのではないか、もっと我々には学ぶことがあるのではないかと思う反面、分からない知らない部分が人生を今を美しくしているのだと思ったりした。
なんでもないこと、なんでもなくなんかないこと、それらをひっくるめて、感じる自分をふくめて時は進み、また神は恐ろしいほどに無垢なのだと三人の男を見て思った。

一回だけ歌ったところも好きだなぁ。「僕歌がうまいって音楽の先生に誉められたんだよ」と子供が言うと「それは将来君を金づるにしようとしてるのさ」と返す言葉も笑えた。卓球の「若い子は集中力がなくてこまるなぁ~」って場面は会場大爆笑でした(^^;。笑える映画でもあるのです。
観終わってすぐ、もっかいみたくなった映画です。
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大英博物館 古代エジプト展

美術館・博物館
07 /29 2012
六本木の森アーツセンターギャラリーで行われている「大英博物館 古代エジプト展」に行ってきました。
エジプトの人の死生観を知りたくて死者の書が観たくて、時間の隙間をみてえいやっとでかけました。装飾品や棺、パピルスにかかれた大小の死者の書を見ました。死者の書は紙だけではなく布にも書かれているものもあって、死んだ魂が無事にいくつもの(200といわれていた)門をくぐれるよう呪文が書かれています。それはどこかお経のように延々と粛々と書かれていて、アジアっぽかったです。

30メートルを超える「グリーンフィールド・パピルス」は圧巻で、これほど入念に死者の書を用意する気持はどんなものだったのだろうと考えたりしました。信仰心の篤さをかんじました。おまけ(というか世界の成り立ち偏?)までついていて、これだけ書くのはたいへんだぁと思ったりしました。心臓を秤にかけたり40の呪文○○してない誓いを言ったり、死んだ後も大変そうです。
しかしその棺の美しさや人型の裏まで描かれた絵文字の美しさに圧倒しました。ほんと美しい、死者を思う気持が現れている(もしくは権力が現れている)と感じました。
細かい文字が並び神への供物や持ち物服装まで丁寧に描かれている。また牛や鳥などカーと呼ばれる精霊の鳥などの生き物の描写も美しかった。昔の人は修正液なんてなかったから息をつめて、一筆入魂で書いたのだろうなぁ。牛の足や神である鳥のくちばし、ヒヒの表情などどれも簡潔で美しい線で描かれていることに感動しました。
心臓の形をしたお守りみたいなものがたくさんあって興味深く観ました。エジプトの人が昔考えた心臓の形ってこんな感じなんだなぁと(ハートのようなかわいらしい壷みたいでした)想いながら、体の中心にあって生きる源だということで大切にしていた心が伝わってきました。

死者の書もブームというか時代があって段々短く簡素になってゆくんだけど、徐々にみてると時代の流れみたいなのを感じました。死に対する多岐に渡った人々の考えと、思いの変化が感じられた展覧会でした。

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記

まじめな本
07 /29 2012
毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記
毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記北原 みのり

朝日新聞出版 2012-04-27
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一時話題になった事件のその後が知りたくて、特にこの木嶋氏のふてぶてしさ、堂々としてる姿が印象に残っていて、どうして自分の欲望の為にここまで自分自身を変えることができたのか気になって読書。
週刊朝日のコラムで連載されていた100日間に及ぶ裁判傍聴の記録が主になっています。読んでいたら夫も連載中に途中まで読んでいたみたいで色々言ってきた。けれども男としてどうもいやだったみたいで、事件そのものも書いている記者が女性であり少し偏っているところもだめだったみたいで、やめていたそうです。面白い?って聞かれて面白いよといったものの、どこがどう面白くて読んでいるのか自分に改めて問いただしながら読んでいました。

練炭自殺にみせかけた、連続殺人の犯人、木嶋佳苗。外観はけっしてよいわけではなく、でもだからこそ誘惑に負けた男の人達から次々とお金をとり犯行におよぶ。それは経過からみても迷いが無く、自分の欲に忠実になりたい者になっているように見えました。この事件を知って思いやりとか我慢とかいう陳腐な言葉よりも先に、どうしてそれができるのだろうという疑問にかられました。そしてこれだけの人をひきつけお金をまきあげることができたそのストーリー性にも興味がわきました。人は誰でも自分の中に”こうである(ありたい)自分”というのがいます。そのイメージは歳を重ねるごとに周りの人と関わりあいながら調整し理想の自分というのを造り上げてゆくものですが、彼女の場合独りよがりでありながら完璧な自分のイメージができあがってるように感じられました。すごい個人的なストーリー性を秘めた人なのではないかという考えが、この本を読んで強くなりました。

女性は違うとどこか頭の隅で思っていても嘘をつきとおし、それを自分の真実にしてしまう力があります。もちろん男の人にもあると思いますが、思い込みはある側面でそれは強いように思います。子供を産み育てる種として自分自身も変えてしまうほどの嘘がつけると感じてきました。しかしこの木嶋氏はそういった生易しいレベルでの嘘ではなく、違う次元タイプの人なのだと思いました。時々人の中には人に呪い(呪文)をかけるような人がいますが、彼女はその最たるもので、話したら最後というようなかんじをうけました。

最後のほうに生い立ちと北海道での生活が少し紹介されていて、なんとなく分かったようなでもその闇は深そうだと思いました。もっと過去を知りたいと思いました。殺人をして幸福な死と感じさせてしまう恐ろしさ、数千万をまきあげてそれでも彼女と結婚するんだと嬉々としていた被害者たちが映し出すものは、心の豊かさを潰し続けた社会の反証ではと感じました。

ステーキ! - 世界一の牛肉を探す旅

まじめな本
07 /28 2012
ステーキ! - 世界一の牛肉を探す旅
ステーキ! - 世界一の牛肉を探す旅マーク・シャツカー 野口 深雪

中央公論新社 2011-12-17
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ずっと前の新聞の書評を読んで面白そうだと思って読書。ステーキが大好きな作者が世界をまわっておいしいステーキを探す旅行体験本。
自分の過去の記憶からアメリカではまれにしか出会えない最高のステーキを探そうとする作者の探究心とその苦戦ぶりは訳本でありながらも面白い観察眼で彩られていて楽しかった。テーマを決めて世界を旅行するのはこんなに面白いものかと思うくらい楽しかったです。

今までの人生で食べてきたステーキのまずさ(大半はとてもまずい)を語る作者。読んでいるうちに夫を思いだしました。夫にアメリカで食べた牛肉の話をこくと「あれは食えたもんじゃなかった。ゴム食ってるみたいなんだよ」言っています。何十年たってもその印象は変わらず、逆にそれほどまでにまずいという印象の牛肉ってなんなのかなぁと思っていました。そしてやっぱりアメリカ人もステーキまずいって思ってたんだぁと思ったりしました。

まずアメリカの牛肉を調べる旅に出ます。どのような状況で牛は飼われているのか、複数の牧場のオーナーに会い、それぞれの哲学(飼育法)聞いては食べる。そして味の違いを感じるとともに自分にとって美味しい牛肉とはなにかを考え始め、自分の味覚すら疑い始め、わ~~~っとなって世界に飛び出す。美味しいステーキはアメリカにはないのか?というショックとともに海外に旅立つ作者は滑稽なほど真剣で目が離せなくなりました。
そしてここに記されている大半の牛の飼育状況の描写は唖然とするものがありました。以前病気からアメリカ産の牛肉の輸入を規制したけれど、確かにこのような餌で(作者は餌にこだわっている)飼育状況でおかしくならないわけはないんじゃないかなと、ちょっと背筋が寒くなった。私達はいかに日ごろ食べている食品について知らないで生活しているんだなと思ったりした。

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ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年

美術館・博物館
07 /24 2012
上野国立西洋美術館で行われているベルリン国立美術館展に行ってきました。同じ公園内にもう一点フェルメールの作品が来ているならば行かないわけにはいきません(笑)。日曜日の朝一番で行ってきました。
東京都美術館の「真珠の耳飾の少女」にくらべ朝一番の人出は少ないと計算して行ったのですが、結構多く会場を出たときに見た人よりも会場直後の人のほうが多かったように思います。
ガイド借りて観たのですが、彫像やタペストリーなど大型の美術品が多く違った見ごたえがありました。人物画も賢者や町の有力者の顔でしわのひとつひとつまで丁寧に描かれた画面からは作者の探究心と描かれた人の哲学が伝わってきました。時代によって人の表情や表現の仕方が変わってゆくのが面白かった。風合いや線は誰がどうと決めたわけではないのにその時代を映していると感じました。女性が水浴びをしている<パティシバ>はその柔らかな空気感も伝わってきそうでした。
「真珠の首飾りの少女」は、柔らかな光を浴びたなんともいえない表情をしている少女で、その壁には地図が椅子には楽器が最初は置かれていたと聞くとなるほどと思いました。でもないほうがすっきりとしてより外からの光の柔らかさが伝わってきます。この少女が着ている服は以前読んだ

フェルメールの食卓 暮らしとレシピ (講談社ARTピース)
フェルメールの食卓 暮らしとレシピ (講談社ARTピース)林 綾野

講談社 2011-07-16
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で紹介されていて、画家の持ち物だったらしいと知るとまた違った親しみがわきました。黄色が好きなんだなぁと思ったりもしました。それも独特の光を効果的に反射している黄色だと思います。

ボッテチェリのダンテ「神曲」煉獄篇の素描もよかった。小さいけど一人一人の表情まで描かれていて思わず魅入ってしまいました。常設展を見終わって外に出るとロダンの地獄の門があります。明るい光のフェルメールと闇の入り口のあるこの夏の西洋美術館でした。

わるいことがしたい!

絵本・詩
07 /21 2012
わるいことがしたい!
わるいことがしたい!沢木 耕太郎 ミスミ ヨシコ

講談社 2012-03-31
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男の子のお母さんは必ずぶつかる壁です(笑)なんでそうなのか(^^;。わるいことと分かっているのにしたいんですね。怒っても理由を聞いても止めない。あんまり追及すると言い訳や嘘を学んでまでやる、そしていつも最後には怒られる、なのになぜ?と不思議がる親の気持などおかまいなしに、子供はわるいことがしたい。

絵本では男の子に聞けば聞くほど悪い事をする。部屋をちらかしたり汚したり、思いつく限りの悪いこと…といっても小学生の元気な男の子、母親が頭を痛める程度です。さんざん悪いことした後で後片付け(いいこと)もする、ちょっと気分がいい、でもやりたいのはやっぱりわるいこと。わるいことだからしたいという気持がよく現れてる絵本。元気な子供に読み聞かせてちょっと自分を省みてもらいたいと思う母です。

なんでだめだってことからするんだろうなぁ…もう。

生協の白石さん

ほのぼの本
07 /21 2012
生協の白石さん
生協の白石さん白石 昌則 東京農工大学の学生の皆さん

講談社 2005-11-03
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数日前の朝刊に「いじめられている君へ」というコラムに白石さんがコメントを寄せていて、その文章を読んで本を読みたくなったので読書。
コラムには簡単な言葉だけどきちんと全力でいじめられている者に対する寄り添う心が書かれていると感じました。誰かや何かを攻撃して安らぎを得るのではない文章で、目に見えないまだ知らない人を肯定する言葉が綴られていました。こんなふうに生協での質問にも答えていたのかなぁと思い本を読んでみたくなった。
大学の生協での短い生徒とのやりとりが面白い。センスはもちろんいいのだけど、気の抜き方や距離のとり方が良いのだと思う。なんとなくはぐらかされたり、思わず笑ってしまう回答に馬鹿にされた気持にならないのは、根底にある生きる人(物)への尊敬と感謝の気持があるからなんだなと、朝刊のコラムで感じた印象を新たにしました。この本読んで、いやなことや悩みができた時、もし白石さんならこう答えるかなと、見方を変え上向く気持のきっかけができたら生協の白石さんは喜んでくれるかな。

千代田線車両の技術変遷展~ローレル賞の受賞を記念して~

鉄道
07 /16 2012
最近平日は二つの仕事で忙しく、息子の相手をしてあげられないので、土曜日映画観た後で「どこに行きたい?」と聞いたら地下鉄博物館!!と言うので、そういえば千代田線の展示もしてるし…と半日地下鉄博物館へ行ってきました。

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新型がローレル賞をとった記念に、今までの千代田線の歴史を展示しています。

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沿線に住んでいるのでなじみのある電車ばかりで、どの形式も懐かしく観ました。
6000系車両もよかったけど、新しい16000系新型車両のステンレスのダブルスキン工法とか、連結部分の開口の幅のすごさとか、新鮮な部分の詳しい説明を観てきました。千代田線の歴史も改めて知ると知らなかった部分もあって発見が多かったです。
最近いろんな地下鉄に乗っていて、線によって乗客も電車も様々な色があるんだなぁと思っていたので、地下鉄の中での千代田線の特徴や個性を知ることができてよかったです。しかし新型の東西線車輌の開口の広さは画期的ですね。1800もあってびっくりです。普通は1300なのに…乗り降りしやすくて快適です。

午後の映画会で南北線の車輌搬入の様子を見ました。兵庫県からはるばる綾瀬まできて、トラックで王子の車庫までゆくところを見て、多くの人の力が関わっていたんだなと思いました。ああ見ると電車がかわいく思えます。大切に千代田線のように長生きしてほしいです(^^)地下鉄に愛着がわいた一日でした。

フェルメールの食卓 暮らしとレシピ

ほのぼの本
07 /16 2012
フェルメールの食卓 暮らしとレシピ (講談社ARTピース)
フェルメールの食卓 暮らしとレシピ (講談社ARTピース)林 綾野

講談社 2011-07-16
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「真珠の耳飾の少女」を観たときに、東京都美術館で売られていた本。この時代の暮らしと食べ物、生活の様子を細かく分かりやすく絵入りでフェルメールの絵画と共に紹介されていて、すきなページをぱらぱら見ながら楽しく読書しました。
彼の暮らしや生活の拠点が地図で示されてもいるので、実際に訪れてみたくなりました。オランダの光とそこに暮らす人々の性格、大変だけど楽しい営みの一部が想像できました。
この表紙に描かれている「牛乳を注ぐ女」は当時庶民の間で作られていたパンプティングを作るところを描いているそうです。そういわれると器やテーブルの上にあるパンがそれを物語っています。後ろには足ストーブも、フェルメールは生活のひとつひとつを細やかに観察しそれを描いていたんだなと改めて思いました。
何度見ても時を経て眺めてもこのフェルメールの透明な静謐な空気感の印象は変わりません。どうしてなんだろうとずっと思ってきたのだけど、食事風景を描いていないところや、部分部分のちょっとしたこだわりが、絶妙な距離感を生んでいるのでしょう。どんな人だったんだろうなぁ。絵を描くことは物事を正確に読み取り受け入れること、そして内に秘めた確固たる哲学があることだと考えているのですが、この画家がどんな人だったのかますます気になってきました。
オランダのタイルや、当時の油絵の具の作り方まで載っています。食だけに留まらない楽しいレシピ本でした。

オランダの光について考える時に

オランダの光 [DVD]
オランダの光 [DVD]マールテン・デ・クローン

TCエンタテインメント 2005-07-08
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これを思い出す。そして観たくなります(^^)

グスコーブドリの伝記

映画
07 /14 2012
下の子と一緒に観て来ました。
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銀河鉄道の夜 [DVD]
銀河鉄道の夜 [DVD]宮澤賢治

アスミック 2002-03-22
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が息子は大好きで家でも何度も見直しています。登場人物が猫なことと、鉄道というので好きみたいで、今回も息子はジョバンニがでてると思い込んでいたようです。

映画が始まって「声が違う…」と呟いていました。電車もあまりでてこなかったけど、長い間じっとできない息子が楽しんでみてました。どこがよかった?って聞いたら困ってたけど、教授が好きみたい(笑)大学って面白いところだと思ったようです。
私は「銀河鉄道の夜」を若い頃一人で観た思い出が蘇りました。杉井ギサブローとますむらひろしの新しい映画を、子供と一緒に観る日が来るなんてあの時の私は想像もつかなかったでしょう。

午前中映画を観て、午後に原作を読みました。少し違うところがあるけど、主題はぶれてないし、観ていて何より心がほぐれました。ブドリが階段昇ったり、作業をしている仕草が丁寧に作られている。おしつけがましくなく大仰でなくだからこそその世界の中でゆったりできる、そんな種類の癒しを受けました。建物もどこかにありそうな、実際に建っているようなかんじをうける構造で、内部空間を歩くブドリ達を見てるのが楽しかった。

妹ネリをつれていってしまうコトリの言葉が印象に残っています。「いい子だがそれだけではだめだ」とブドリに言ってコトリはネリを連れ去ってしまいます。それから運命に翻弄されながら誠実に必死に生きてゆくブドリ、働き学び考えたブドリが最後に下す決断は、人間の生命の生きる本質を説いているように感じました。
いい子だけではだめで、じゃあどうすればいいのか。それは永遠の問いです。ずるくなるのか、汚くなるのか、暗い道をゆくのか、その決断こそが命の性質を決めるのかもしれません。

浅草の凌雲閣に似た建物がでてきた。エレベーターの中に乗っていたのは銀河鉄道の夜のあの男の子だったように思います。思わずあっと叫んで息子を揺り動かしてしまいました。他にも銀河ステーションがでてきたり、イーハトーブの駅や電車も楽しめた。

観終わった後、息子が「コトリのところにはカンパネルラもいるのかな」と呟いていました。
パンフレットにはブドリ語が載っていて、背景の色んな文字を読んでみたり、名前を書いて楽しんでいます。

ブドリが出会った人達の、辛い生活のなかにもある優しい眼差しを、遠いものとして見なくてはならないのがしんどい。命を根こそぎ摂らない、人間も自然も。その心を現代の私達は忘れてしまったのかもしれません。

月の少年

ティーンズ
07 /10 2012
月の少年
月の少年沢木 耕太郎 浅野 隆広

講談社 2012-03-31
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子供向けのお勧めにあって綺麗なのと月という文字に惹かれ読書。
以前
あなたがいる場所を読んでいました。その作者の小説です。
冬馬は両親を亡くし水の家と呼んでいる湖近くに住んでいる彫刻家のおじいさんの家で一緒に暮らし始めます。周りの皆は冬馬に優しくしてくれるけど、だんだん彼は学校に行きたくなくなりやがて行かなくなります。
そして昼と夜が逆転した生活を始めるのですが、ある満月の夜に湖に船が浮かんでいるのをみつけます。

学校に行きたくないという孫に、おじいちゃんは黙ってそれを許します。夜遅くまで起きて昼は寝ている冬馬に何も言わず毎朝朝食を用意してあげる。声もかけずただじっと自分の仕事を続けるおじいさん。その姿をそれとなく眺めながら湖と山の自然に触れ少しずつ心をほぐしてゆく冬馬の姿が素敵です。
私だったらつい学校行けとかいいたくなってしまうなぁ(汗)

珍しく早起きした冬馬といっしょに朝ごはんを食べた後のおじいさんの言葉がいい。食器洗いを進んでやった冬馬に「ありがとう」という。このエピソードが好きです。

小船に乗った男の子と話し、不思議な笛を鳴らす冬馬。最後はなんともいえない心が温かくなる終わりです。「あなたがいる場所」の作者だなぁと思いました。

ピース

現代小説
07 /09 2012
ピース
ピース樋口 有介

中央公論新社 2006-08
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文庫版になったときの書評を読んで面白そうだと思って図書館で予約したら予約数がすごくて長い間待たされてやっと来たんだけど、その時に読めなくて再び予約して(また)やっと来てやっと読んだ本。
文庫ではなく単行本で読んでみました。
読み終わった感想としては
ピース (中公文庫)
ピース (中公文庫)樋口 有介

中央公論新社 2009-02
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のほうがイメージにあってるのかな。

舞台となる秩父のあたりは何度か行っているところで、ちょっと親しみがわいた。方言とかよく分かるようわからないような…(^^;。地元ではないので、ニュアンスとして楽しみました。
最初は読み進んでいてどうなるのかなと思っていたのですが、段々曖昧になってくる部分があってそれを考え繋げながら最後まで読みました。点の集合体として全体を捉えられたかなと思うような読後感でした。
一人一人の物語が切れていてそれを繋ぎ合わせて読んだかんじがしたので、これでいいのかなと思ったりした。生活の描写などは想像しやすくてイメージがわいたのだけど全体像となるとぼやけてしまったのは私の読む力が足りなかったからなのか分からない。
このピースにまつわる話も軽く書かれているように思う。誰もが強烈な印象として残っている出来事にからめてあるだけにもっとここらへんの話を読んでみたかったように感じた。あの山の周辺は出来事が嘘のように美しく綺麗なところになっています。以前行った場所を思い出しながら読みました。

ブラッドベリ、自作を語る

まじめな本
07 /08 2012
ブラッドベリ、自作を語る
ブラッドベリ、自作を語るレイ・ブラッドベリ サム・ウェラー 小川高義

晶文社 2012-06-02
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ブラッドベリの訃報を聞いてショックを受けていたところへ、図書館の新刊コーナーに置いてあったのを目撃。即借り即読み。本屋へ行かなくちゃと思っていた私に直ぐに読めとのお達しだと勝手に解釈して読みました。

ブラッドベリを始めて読んだのは高校生の頃。SFを読み始めた私には華氏という言葉を本が燃える温度が添えられた
華氏451度 (ハヤカワ文庫SF)
華氏451度 (ハヤカワ文庫SF)レイ ブラッドベリ Ray Bradbury

早川書房 2008-11
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に強くひかれ読みました。

そして
火星年代記 (ハヤカワ文庫SF)
火星年代記 (ハヤカワ文庫SF)レイ ブラッドベリ Ray Bradbury

早川書房 2010-07-10
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に衝撃をうけ、なんと言葉にしていいのか分からないまま飲み込まれるような物語に驚き戸惑った思い出があります。
どのストーリーにも優しさが根底にあって、理屈じゃなくて心で書かれていると感じました。それは深く広く自分がこの物語にまだ相応していないと直感したことを記憶してます。どんなすごい人なんだろうと、思ったけどどんな人か分からないまま正体を知らずにここまできてこのインタビュー集はとても面白かった。最後まで楽しんで読めた。

トワイライトゾーン/超次元の体験 [DVD]
トワイライトゾーン/超次元の体験 [DVD]
ワーナー・ホーム・ビデオ 2010-04-21
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この作品に名前があったけど、あんないきさつがあったとは知らなかった。

白鯨 [DVD]
白鯨 [DVD]ハーマン・メルヴィル

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2006-11-24
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同様にこれも。

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マウリッツハイス美術館展

美術館・博物館
07 /05 2012
東京都美術館で行われている「マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝」に行ってきました。
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午前中の仕事が休みだったので朝一番で券を持って行きました。
上野公園を歩いているとたくさんの人が美術館に向かって歩いているのを目撃。
既に大混雑かなと覚悟したのですが、9時半ちょっとすぎに到着したら開場した直後のようでスムーズに入れました。
とはいえ、ガイドを借りるのも並び会場の中も既に人で賑わっていました。
もうこんなに人が…と焦りながらも素晴しいオランダの絵画を一つ一つ眺め進みました。

一階では「漂白場のあるハールレムの風景」とヤン・ブリューゲル(父)が共同制作した「四季からの贈り物を受け取るケレスとそれを取り巻く果実の花輪」が素敵でした。漂白場のあるーは、のどかなオランダの風景が広がっていて、向こうには大聖堂のある都市があるのに日の光をあびて布を干す人たちの穏やかな生活を覗き込んでいるような気持になり、嬉しくなった。四季からのーはブリューゲルが共同で描いたなんて面白かった。花の部分を描いたそうですが、周りにたくさんの小さな動物がいて花もさることながらその細かい作業が観てて面白く飽きなかった。

二階にはフェルメールの「真珠の首飾りの少女」が展示されています。観る為の列は二つあって、遠くから眺めることのできる列と、前まで行ける列。もちろん殆どの人が近くで観ようとするので自然並びます。二十分ぐらいで前までくることができました。遠くから眺めながらなんとなく想像していた色と印象が全く違うのでびっくりしました。色はテレビや印刷でみたのとは全く違うという印象を受けました。なんというのか、鮮やかではないのに心に残る色というか構図全体から醸し出される空気感が違う。私はこの絵を近くで観て少女の素肌の絵だ!と直感しました。なんともいえない子供でもない大人でもないオランダの女性の肌の感触をこの絵は描いているのだと感じました。その為に髪をたくし上げ、青いターバンを巻き、黄色の布をまとっているのだと思いました。この絵を自分の視界いっぱいに納めたとき、濃い背景から少女の面差しがふわっと青と共に浮き上がってくるような錯覚を感じました。そして耳元にぶら下がっているたったひとつの大粒の真珠が確信をもって何かの象徴のように輝いている。少女の頬によりそいながらそっと光を放ち、画面を超えて時間を越えてこちら側にくるようでした。はっとした瞬間鳥肌が立った絵でした。
歩きながら観たので、今のはなんだったんだろうと、また並んで観ました。今度は列が少し減っていて十五分ぐらいだったかな。少女の肌に注目して見ました。二回観ても分からなかったけど少女の肌の色や感じが強烈に印象に残りました。

それから肖像画やレンブラントの自画像を観てみて三階に、ここにはヤン・ブリューゲル(父)のチューリップの絵を観ました。フェルメールと腕を競い合った画家の絵や、やがて有名になるアンソニー・ヴァン・ダイクの絵が観られて、ヨーロッパの繋がりや影響しあった画家の様子を絵で観ることができて楽しかった。

最近はどうしてもPCで絵をみたり印刷物をみて観た気になってしまうけど、静物画や肖像画にこめた思いや哲学は本物を見たときによりリアルに体で感じるものだと改めて思いました。その筆遣いが息遣いになり伝わってくる。レース編みをしている老婆はもうとっくにずっと昔にいないのにその老婆の佇まいと生活を感じることができるのは、とても贅沢で幸せな気持です。写真の無い時代の酒に酔った男達の顔を観て笑えるのはなんだかとても嬉しく癒された気持になりました。

11時過ぎに会場を出ました。すると入場制限がされていて50分待ちとなっていました。
これから行かれる方は開館直後に入場するのがいいと思います。


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行きは裏の(東?)門から入ったので帰りに撮影。
新しくなった都美術館はぴかぴかすぎて、まだちょっと照れてしまいます(^^;。次の企画展示も面白そうなのでまた来たいです。


それからそれから、これから行かれる人に二つ気をつけたほうがいいこと。
一つは各階エスカレーターで移動するので下の階に下りることができません。真珠の首飾りの少女は二階に展示してありますが、先に見ようとすると(もし降りることができても充分観られないように思います)一階に戻れなくなりそうです。一階にはオランダの空気感がよく出ている絵画がたくさんあるのでゆっくり観てから上の階に行かれるといいと思います。
もう一つはマナーモード。各階各ゾーンで色々な着信音を聞きました(^^;。こんなに携帯鳴ってる会場に来たのは始めてです。ワンフロアで3~5回聞きました。是非マナーモードにしてから入場してください。私は大きな展覧会に行く時はガイドを借りて周りの人の声が気にならないように繰り返し聞きながら観ます。今回耳が痛くなりました…。
あと絵画以外のおしゃべりはあまりなさらないでください。久しぶりにお友達に会った興奮は分かるのですが、少し離れたところでお話ししてくださると嬉しいです。はい。

ガイド機、新しくなってモニターもあってわくわくしながら使ったのですが、画面が発光して首からぶら下げてると絵画面にはめてあるガラスに反射するので困った。途中鞄にしまったりしました。内側にできるとかすぐ消えるとかできるといい。細かくてすみません。特に光が大切な絵にはこだわってしまうのです(汗)。

今日は動物園でパンダの赤ちゃんが産まれたそう、めでたい上野でした(^^)

コクリコ坂から

DVD
07 /01 2012
コクリコ坂から [DVD]
コクリコ坂から [DVD]
スタジオジブリ 2012-06-20
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発売してからずっと観たかったDVDをやっと観ました。物語はなんとなくTVで知っていたのでゆったりとした映像を楽しむつもりで観たのですが、最後は山場もあって面白かった。横浜に行きたくなりました。
ただ坂の描写やひとつひとつの動きが細やかであればあるほど、簡略化されている部分の違いが気になった。アニメはそのうまい切り捨て方が肝なのだと思った。何を排除して何を過剰にするか(つけたすか)が画面にメリハリを加え観る人の感情に訴えるのだと思う。そういった意味でどこに心を動かせばいいのか迷うことが多かった。

海ちゃんがどこで俊を好きになったのかを考えるのが楽しかった。最初のガリきりを手伝ってる無言の場面で好きになったんだろうなぁと思った。あの詩を書いたのはこの人なんじゃないだろうかという想いを口に出さず考えながら無言で作業してる隣で、黙ってるけど確かな存在として印刷する俊との間に恋が芽生えていたのではないかなぁと、ほわほわしながら想像しています。ガリ版刷り懐かしかったです。
原作の漫画も読んでみようと思いました。

我が家の男連中は作中に走っている車や横浜市電が気になって仕方なかったようです(笑)薀蓄語ってました。東京の場面は江戸東京博物館で観たものも多く出ていました。

コクリコ坂から (単行本コミックス)
コクリコ坂から (単行本コミックス)高橋 千鶴

角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-07-10
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原作を読んでみました。海ちゃんのキャラクターがぜんぜん違う。展開もエピソードも違うので違う物語としてとらえるといいかんじがした。ゲド戦機もそうだけどジブリは女性の描いたファンタジーをよく映画化してる、男の人のファンタジーと女の人のファンタジー(または物語性)違うのかなぁと思ったりした。

孤独のグルメ 谷口ジロー原画展

科学
07 /01 2012
用事でお茶の水に行った帰り、明大の前でポスターを見て知り米沢嘉博記念図書館に行ってきました。

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孤独のグルメ 【新装版】
孤独のグルメ 【新装版】久住 昌之 谷口 ジロー

扶桑社 2008-04-22
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この本以前友達に薦められて買って一度読んでから、長い間棚にありました。最近娘が引っ張り出して読んだようでそこらへんに置きっぱなしになってたのを、隙間時間に一話ずつ読んだり最後の対談読んだりして手にとってちょこちょこ読み返していました。ふとした時に読んで主人公の気持をコマ毎に考えたりするのが楽しくて、細く長く読み続けていたせいか今ではすっかり親しみがわいています。
表紙の原画や見慣れたページの原画が見られてよかった。こうやってトーンの貼るとこう印刷されるんだなぁと思ったりした。

この記念館にはコミケの創設者米沢氏の歴史や今までのコミックの歴史を観ることができます。なつかしい少女雑誌や、コミケのカタログのバックナンバーがあって面白かった。日本人であれば好きなコミック、心に残るシーンの一つは必ずあります。時代の中で人間に密接に繋がってきた漫画という文化について考えました。

家に帰ってチラシ眺めてたら夫に

神々の山嶺 1 (集英社文庫―コミック版 (た66-1))
神々の山嶺 1 (集英社文庫―コミック版 (た66-1))谷口 ジロー 夢枕 獏

集英社 2006-10-18
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を描いた人だよね。といわれた。
狼は帰らずの人の話だよ、と説明され読んでみたくなっています。

この記念図書館分かりにくくて、道に迷うそうになりながら着きました。
近くに男坂があるのでそれめざしてゆくと分かりやすいかも。
男坂登りながら思い出したのは

男坂1~最新巻(少年ジャンプコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]
男坂1~最新巻(少年ジャンプコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]車田 正美

集英社
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な、懐かしい(^^)

コミックについて考えをめぐらすと止まりません。

月夜野

東京下町在住・本・建築・ハチロク好き