目かくし

現代小説
07 /20 2015
目かくし
目かくしシリ ハストヴェット Siri Hustvedt

白水社 2000-04
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お友達に薦められて読み始めたのですが、最初はうまく読みすすめられなくて1章の真ん中で挫折しました。しかし、読み終えてというより、面白くて読んでいる間に終わってしまったというかんじでした。
一章は箱に詰まった思い出の品についてレポートを書くアルバイトをしているアイリスの話。無味乾燥なイメージでしたが後半からは一見ただのものである品に対する心情の羅列が次の心情を呼び起こし不思議な世界につれていかれます。この章では夜眠れずにあれこれと悩む彼女の表現が面白かった。俯瞰していながらどこか病んでいる彼女の感性をたどっているのが面白かった。
二章は写真に撮られたことで変わってゆく彼女の物語。それは意図していない出来事ながら、徐々に自分というものがあいまいになり翻弄されてゆく。写真をとったボーイフレンドとの関係、大学の友達との関係それらに対する彼女の細やかな心境の変化にすっかりはまってしまいました。
三章は病院に入院している彼女の闘病生活の話。闘病といっても彼女が戦っているのは隣に寝ている夫人との戦い。ねっとりとしかし精神をわずらっている夫人の不可思議なでもどこか気になる行動や佇まいに動揺しながらも惹きつけられている様子が伝わってきました。
四章は大学教授との関係の話。翻訳を手伝いながら、貧しいのなかアルバイトしたり夜の街をさまよったりして、現実と想像の世界がごっっちゃになってゆく。
と、ここまで書いて特に三章の後半からは、この作者の心情そのものであることに気づき、改めて本の帯をみて、ポールオースターの奥さんであることに納得。すごい文章です。ひきこまれっぱなしだったことにここにきて驚いたりしてました(とろいです、どこまでもとろい私)

一つ一つの感情を細やかに区別して描いている。前回書いたカズオ・イシグロの対話を思わず思い出してしまいました。心情を伝えるという意味でこの小説は素晴らしい一冊なのだなぁと思いました。

P207 フィクションは現実ではないんだよ
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カズオ・イシグロ 文学白熱教室

にっき
07 /20 2015
週末に教育TVでカズオ・イシグロの対談番組があることを知り、録画してみてみました。読んだことがあるのは「私を離さないで」で、肺炎で入院したときにベッドの上で読んだのでよく覚えています。そして、とても不思議な気持ちになったのも覚えています。「日の名残り」しかり、今発売されている「忘れられた巨人」しかり、不思議な物語を書く人という印象です。日本人でありながらイギリスに住んでいて英語を話していてあまり公の場にはでてこないと知り、どんな方なのだろうなぁとずっと思っていました。
50分の短い対話でしたが、イシグロ氏の小説に対する思いが伝わった番組でした。
物語を語ることの大切さ、心情を重ねることの意味などを考えました。心情を伝えたくて書いているのだなぁと感じました。
「私を離さないで」は原作だけ読んで映画を持っているのですが未見でした。この番組でちらっと映像を見たら映画「アイランド」とそっくりなんだなぁと思った。私の中では寄宿舎は寒々しいイメージはあってもあんな感じではなかったので、映像で見ると違うイメージを呼ぶのだなぁとも思った。アイランドは本が出版された2015年に公開されているので不思議な一致だなぁと思った。政治批判が含まれているって書いてる人もいるけど、どうなのかな。そうだとすると「忘れられたー」もそうなのね。にぶいな私。忘れられたー読んでみたくなりました。今までどう読めばいいのかわからなかった部分があったのだけど、わかりかけてきてきたかも。”読者の読み方にも限界がある”とイシグロ氏は途中おっしゃっていたけど、その領域まで行ってみたい…デス

ヘレン・シャルフベック展

美術館・博物館
07 /20 2015
昨日ヘレン・シャルフベック展に行ってきました。
快復期と呼ばれる絵画が気になったのが一番ですが、フィンランドの女性画家の色がみたくて行きました。土曜日の朝一番(10時すぎ)でしたが結構人がいてびっくりしました。他の人はどんな動機できたのかなぁ。
公式サイトをさっと観てから行きました。留学のきっかkけになった「雪の中の負傷兵」や「妹に食事を与える少年」など力強い自信にみちた作品が前半に並んでいました。妹にーは貧しい兄妹の妹に自分のスープを与える優しさが表現されていて、「母と子」では母の子への愛が表されていました。新進気鋭の意気込みで若い頃突き進んだシャルフベックですが、基本的な優しさや愛に敏感な人だったんだなぁと思いました。「シュヴェルリーン公ヴィルヘムの死」は若い兵士の死を悼む男たちが描かれています。そこに母がいないことから戦地での光景なのかなlと思いました。

快復期は小さな少女が若芽をコップに刺し見つめている絵で、その静かな風景に大人が見過ごしてしまいそうな穏やかな空気が流れているのを感じます。この少女は作者の投影で失恋から立ち直る決心が描かれているそうです。その決心は穏やかながらも強く静かに訪れたものであるように私にはみえました。一見なんでもないような一瞬に静かだからこそ長く深く地下水に水がしみこむような明るくも確かな決心を感じました。少女の澄んだ水色の瞳が印象的でした。この絵を観ているひとは思わず微笑んでいたけど、そんな思わずほぐれてくるような美しくも明るい寂しくも悲しい絵でした。

「お針子」はホイッスラーの影響が大きい絵で、お針子さんが持つはさみのリボンが腰を横切っているのが印象に残った。寒そうな色とお針子の人生が重なっているように感じました。

晩年は自画像を描いていたシャルフベックさん。いいモデルがいないといいながら最後に自分の顔を描きつづけたのはどんな気持ちなのだろう、エル・グレコや様々な有名な画家の模写をしいろいろな描き方をこなしてきた彼女が同じように大切にしていたのはモデルで、そこに人としてのなにかを見ようと、または写し取ろうとしたのかなと思いました。

ヒックとドラゴン 1・2

DVD
07 /18 2015
ヒックとドラゴンの2が出たのでまず1から観てみることに

ヒックとドラゴン スペシャル・エディション [DVD]
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DVDで観ていてよかったのは覚えていたんだけど細かいディテールを忘れていたのを、いろいろ思い出した。このヒックの性格とドラゴンたちとの心の交流、そして成長がいい。それから私が一番好きなのは代償を支払っているところ。ヒューリーは尾をヒックは足を、心に闇をかかえながらも明るく生きるところが好きです。変わっているところも面白い。ヒーローとしては珍しいんじゃないだろうか。
前回見たときは2011年1月でした。

ヒックとドラゴン2 2枚組ブルーレイ&DVD(初回生産限定) [Blu-ray]
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ゆっくりみたくて買ってしまいました~。
5年後の成長した彼等の物語。トゥースとヒックの友情は堅く、20歳になったヒックは世界の外にでてゆく、そこには新たな世界がまっていて…。と物語を成長に合わせて舞台がおおきくなっている。でも気弱な気持ちだけは大きいヒックは健在で父に後を継げといわれてしり込みしている。島の外の人たちを交流してゆくうちに事柄は大きくなって…。
今回もヒックは大きなものを失います、同時に得たものも学んだものも大きい。大きな失敗をしてもくじけても信念をもって前に進むヒックの姿がこの映画のいいところなんだなぁと思った。トゥースも完璧じゃないし、自分もふがいない、でも守るべきものやることをしっかりやるんだという気概を持っているところが、このアニメの魅力なのではないでしょうか。
ドラゴンの動きもいい。今回二枚羽のドラゴンがでてきた。アバターとは違うドラゴンで、頭が大きなところが恐竜っぽい。
次はトゥースのお嫁さんかなぁと思ったりしながら3を待ちたいと思います。

加須科学館

美術館・博物館
07 /18 2015
夫がKAGAYAさんの銀河鉄道の夜が見たいというので、加須(かぞ)市で上映されているプラネタリウムに7月12日行ってきました。
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利根川の近くに建つ小さな親しみのある科学館。下の駐車場からゆくとちょうどラベンダーが見ごろでした。
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川岸のサイクリングロードを走ってきた自転車のりの人が休憩していました。

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以前子供が小さいときに立ち寄ったことがあったのですが、プラネタリウムは初めてでした。投影機を新機種に変更して、今回の上演も行われたみたいです。もう何度も観てきたKAGAYAさんの番組、またまた楽しんできました。よかった~たぶん今までのなかで最小のドームでしたが、全体が見渡せて楽しかった。
今度は新作が観たいです~

農場見学

にっき
07 /18 2015
今月上旬4~5日に娘の大学の農場見学があったので行ってきました。
富士宮にある農場に一泊二日の見学です。
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行きの足立SAでは箱根が舞台になったアニメが貼られていました。

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霧深い農場に到着です。このときは二日間とも雨で青空は拝めなかったのですが、晴れていれば富士山がすぐそこに見えたみたいです。残念。
でも、早くついたため白糸の滝に寄れました。

オリエンテーションを終えて夜のバーべキュウヘ
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農業の大学らしく肉の産地を食堂に掲示。
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そしてお肉。野菜も地元産のものでとてもおいしかったです。
その後は一緒に校歌を歌い、だいこん踊りもしました。…三代にわたる団長にもきていただき奥様方の撮影大会に巻き込まれておりました。かっこよかった

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翌朝は農場の見学。牧場の牛舎や放牧場を見ました。
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この牛は昨夜バーベキュウ会場の隣に寝てた牛…いろいろすみません。

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鶏小屋も見学。ウイルス予防のために消毒したり白い服を着たりしました。彼等からすると都会からふらっときた大人の私たちほど危険で怖いものはありません。厳重な管理の下見学は行われました。

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そして伊勢原農場。
ここは通いで農作業実習にくるところなのだそう。それにしても緑が多いなぁいいところです。川に蛍を放す計画もあるとか。
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ここではパプリカ、シクラメン、などの野菜、花、果物がたくさん作られていました。りんごやベリー類、ナスやきゅうり、かぼちゃ、スイカなど、メロンもあったなぁ、様々な食べ物を作っているところを見学しました。

食べることや食品について、おろそかにしているつもりはなくても、一つ一つの食材について深く考えることがありませんでした。牛舎や鶏舎を周り、命を食材としていただくシステムや、長い人間と動物との歴史、植物の研究について考えました。それから人は(私は)自然や他の動物とつながっていると同時に世界にもつながっているんだなぁとも感じました。

牛肉の問題、搾乳する知恵、卵を産ませるシステム、おいしいメロンを作る方法、土のなりたち、それらを考えた上での収穫→食品となる流れをつくづく深く考えました。

娘は農業の専攻ではないのですが、よく食べ物についてぶつぶつ言っているのはこんな環境で学んでいるからなんだなぁと思いました。いい大学に入りました。

フランス国立ケ・ブランリ美術館所蔵 マスク展

美術館・博物館
07 /13 2015
これも先月6月21日に行ってきた庭園美術館の展示です。
マスクというよりも、去年リニューアルされた庭園美術館が目的でした(^^;

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美しく改修修復されていました。

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別館もすばらしい。

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この日は雨でしたが中庭はしっとりと濡れていて、素敵な空気感でした。

屋上のテラスが見られなかったけど、これから始まるアールデコの邸宅美術館展では観られるかなぁとちらっと思ったり。またいくつもりです(笑)

マスク展はさまざまな民族のマスクが展示してあって、その部族民族の価値観や尊ぶものへの愛着が伝わってきました。そして儀式につけるマスクは男の人が主でその大半がシンボリックな強きかたちがあらわされています。種を残すこと、シンボルを目立たせることが権力の誇示であることが社会の第一の基盤であるのかと、女として男のプライドや権力を感じました。そうまでして・・・と思ってしまうのは女だからなのかなぁ。独特な呪術的な魔法を感じました。

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子供向けのワークショップの部屋があり、庭園美術館の間取りや素材がわかりやすく展示してあって楽しかった。大切に丁寧に補修され使われている建物を見るのは心休まりました。

線を聴く シンプルなかたち展

美術館・博物館
07 /13 2015
もう先月の6月27日のことになってしまうんですが、行ってきた展覧会のメモを二つ・・・

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シンプルなかたち展に誘われたので、六本木に向かう前にまずは エルメスギャラリーで関連展示が行われている「線を聴く」展へ行ってみることに。瑪瑙の輪切りをアートにしたロジェ・カイヨウの作品をはじめとして、自然がつくり出す線についての展示でした。聴くというのはよくわからなかったのですが、観るように耳を澄ませるという気持ちでみました。
水墨画を立体に表したシュ・ビンと屋内を立体的に作品にしたてた鯨津朝子の作品が面白かった。鯨津さんの作品は展示会場にクレヨンのような黒い線を会場中に線を引いた作品で、防火戸から天井からガラスブロック面の窓側まで線がひかれていて、掃除が大変だなぁとか思ってしまった。人体の行動を超えた線が空間に広がっているのが面白かったです。
そして会場内に関連図書がおいてあるのがよかった。次に行くシンプルなかたち展のパンフレットもあってぱらぱらとめくってから六本木に向かいました。
一階でブルーグリーンのブレスレットがほしくなった。・・・・・・8万円でした。でもほしい。いつか買うんだ~。

それから森美術館でシンプルなかたち展へ大きな吹き抜けが印象的な森美術館です。
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中の展示はいくつか撮影してもよいのがありました。これは光の輪がぐるぐるしてたやつ。
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これは布がぶわーんでしてたやつ(ボキャ貧だわ~)
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自然や工業、鳥の声など様々なものの”かたち”について考えました。それは当たり前でありふれているからこそ、注視しなくてはならないものであり、また知らない間に愛着をもって眺めているものとなっているのではないかと考えた展示でありました。

霊応ゲーム

現代小説
07 /11 2015
霊応ゲーム (ハヤカワ文庫NV)
霊応ゲーム (ハヤカワ文庫NV)パトリック レドモンド 広瀬 順弘

早川書房 2015-05-15
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幻の名作が復刊したといううわさを聞いて購入し読んでみました。久しぶりにがっつり読書できたなぁって思った読書でした。
時代は一昔まえのイギリス名門校。同性愛がテーマの本としてよこしまなきもちで読みjはじめたのですが、訳本としては珍しいくらい読みやすく、また感情移入しやすい流れで通勤の車内20分を忘れるくらい楽しかった。
リチャードとジョナサンの友情もさることながら、大人の世界(校長や親の世界)も面白い。そして人間としての当たり前だけど、どうにもならない感情が細やかに描かれていて、どの場面も読み飽きることがなかったです。

胸がきゅんとしてみぞおちのあたりがいたくなったり、ジェームズにいじめらていたジョナサンがリチャードの知恵を借りて挽回するところなど、作者が体験してきたことなのかなぁってくらいリアルで面白かった。
リチャードの美しくも強い狂気とジョナサンの弱く繊細な感性のコントラストがいい。またそれを熟知してあますとこなく表している作者が何者?ってくらいいいです。

そこに作者の確固たる人生論が織り込まれていてそこもよかった。人間がおかしてしまう過ちや、愛ゆえの狂気など近すぎない距離できちんと書きあらわされている。人ならだれしももつ独占欲や名声欲、権力への傾倒が身近な距離から書きおこされていると感じました。

リチャードとジョナサンが美しく彼等の狂気が綺麗なのもたまらない。青年期の情熱とどこか危ういそして魅力的な美しさが読んでいる間ずっと続いていて、いつまでも読んでいたいと思う本でした。

月夜野

東京下町在住・本・建築・ハチロク好き

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