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ロング・グッドバイ

村上春樹
09 /11 2007
ロング・グッドバイロング・グッドバイ
レイモンド・チャンドラー 村上 春樹

早川書房 2007-03-08
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この本が出た時、一目見て「読みたい!」と思いました。本には時々こういった一目ぼれの本があります。村上氏の訳というのもあるのですが、装丁といい本の佇まい(そんなものがあるのかといわれると困るんだけど、雰囲気でわかってください)読んでみたいと思って読書。

で、始めに気が付いたのは、私、ハードボイルド読むの始めてです。ハードボイルドがどんなものか、酒とタバコと女と都会の孤独ぐらいしか知らない私がわかるのだろうかと思いつつ読み始めました。がっ、面白かったです。こんな小説あったんだぁと思うほど面白かった。

長く(くだらなく)なるので以下に…



ストーリーはもちろんですが、文章がいい。それはあとがきに春樹氏が自ら語っているので今更なんですが、それでも彼が指摘した部分ではないところでも、素晴らしいところがあった。それは訳のせいでもあるんだろうけど、原作がいいというのは絶対だとおもう。今更なんですけど。
それはどこかというと、章の最後の落ち方です。落ちというとへんかな、終わり方が持っていきかたが素晴らしい。なんでこんな余韻を作れるのだろうという、今までにない美しさがあり、章を読み終えるごとにため息をついたほどです。マーロウの視点から語られながら、ふっと世界を俯瞰する文章がついている。そこにマーロウと作者のかっこよさがありました。何度も顔を上げてきょろきょろしたくなるほど、この世界実現に驚いた。大げさじゃないって、ほんとにそう思ったんです。

あとがきにもあるように、自我を極限まで殺す、いや亡くしている。マーロウも作者も、それは他の外国文学では亡くすという自我を感じるものなのですが、この小説はそれがない。日本的な無を感じる、喪失感です。

この小説を一言でいい現すと私は”何もなさ”というより”無”あるいは”真空”というイメージでした。そこには何もないんです、時間が初めと終わりでぴったり合わさっている感じのような、凝縮された無のような、あ、これは例えすぎだな、ただもう無それだけな感じがあった。

社会の全てに悪意をむき出しにし、反抗しながらも、社会に埋没して生きなくてはならない声にならない抗いを感じた。

そしてマーロウが徹底的にかっこいい(笑)全てに牙をむき、大きくて小さく、強くて弱い、正義と悪を兼ね備え、それでも生きてる。そんな感想を持ちました。

途中、なんで探偵をしてるのかマーロウが説明するくだりが好きです。自分はこのようにしか生きられない、だから警官ではなく探偵なんだ。こだわりたいから、こだわるから私は探偵なんだという場面があるんですが、そのどうしようもなさを受け入れていつ自分をまた俯瞰して皮肉るマーロウの言葉がいい。
他にもローリングという作家夫婦の会話や色んな会話が印象に残ります。書いているときりないので(笑)このへんで。

村上氏のあとがきが驚くほど長いのには感動しました。
「グレート・ギャッツビー」はよく分からなかったけど、この本は面白かった。どこがどういいのか言葉にできる面白さです。他のハードボイルドも読みたくなったけど、逆に怖いくらい楽しかった。ハーボドイルドだからではなく、この文章の連なり方に唸り楽しみました。
この作者の視点はほんとこの作者しか持てないだろうな。この無茶苦茶さが、最後の最後で美に昇華されているところに感動しました。

本が重くて読みにくかった。文庫になったら買おう。買うぞー。持ち運びにくく、眠る前に読むと腕が痛くなった。でもニ段組になってなかったので、読むのは楽しかった。ニ段組苦手なのです。はい。

追記:建物の描写がいい。特に廃墟の描写が好きです。朝早くから庭の手入れをする日本人庭師(笑)とか舗装されていない道路の岩の種類。内装が大理石か人口大理石かまで描いている。それが全然いやみったらしくなく、颯爽としている表現になっているところが唸りました。こんな風に建物や街の空気を出せる作家というのを今まで知りませんでした。かっこいい。読み返したくなる本です。

P544にある「二人のみごとな語り手」の後半のたたみこみ方(というのかな)すごかった。この小説に対する訳者の基本的な考え方が語られています。圧巻でした。
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月夜野

東京下町在住・本・建築・ハチロク好き

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