約束

携帯小説
12 /16 2008
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白井かなこ 著                            
電子書籍「暦がつむぐ恋物語」シリーズの八月の小説のご紹介です。

携帯小説を読むのは初めてでして、購入の仕方から読み方まで初体験の小説でした。
ダウンロードや書体の設定など、冒険しながら読みました。

この小説は一年を通して書かれた十二の小説のうち八月の物語です。
少し長くなりますが、約束をどうして読むことになったかというところからお話したいと思います。

秋に父と会った時、「弟をモデルに小説にしたという女性から連絡があったんだよ」と言い出しました。小学生の頃、弟の同級生だった友人が弟をモデルに携帯小説を書いてくれたと知らされました。弟が亡くなったのは1999年で、もう十年近く前に死んだ弟がモデルだということで、とてもびっくりして父に作品名を聞き、読んでみることにしたのです。

弟は生まれつき心臓の造りが普通と違っていて、入退院をくりかえして育ちました。そして彼が小学三年の時に引越しをしました。新しい小学校に入ってからは殆ど友人ができず、病院と家との往復が主でした。心臓が悪い為にいつも唇が紫で、走ることができず、からかわれても追いかけることも怒ることもできませんでした。そんな彼は次第に人より大人びて、同じ歳の子供達から一歩下がって全体を見ている子供になりました。
発作が起きれば救急車を呼び、地方の病院から大きな病院へ、また状態がおちつけば大きな病院から地方の病院へと転院をくりかえしながら、咳ひとつするのもびくびくしながら家族で見守ってきました。
心臓移植を諦め、腎臓手術を諦めて、階段を一つづつ降りるように身体の部分が壊れてゆきました。そして最後は大量の吐血をして亡くなりました。しかしそれは苦しままずに死んだことになるそうで、今までずっと苦しんできたんだから、そのくらい神様が許してくれたんだね、と話していました。

この小説に出てくる木葉月哉くんは、ひょろりと背が高くて浅黒くて目が印象的で、と、弟の印象にそっくりです。彼はいつも健康である私達とは違うものを見ていたように思います。そこが妙に大人びて、でもどこか無邪気で…という弟のイメージが蘇ってきました。白井さんはこんなふうに弟を覚えていてくれたんだなぁと、二十年近くたっても弟を覚えていてくださったことが嬉しかったです。

1999年の今日、弟の葬式を挙げました。何にもいいことがなくて、彼の人生なんだったんだろうと、まだ幼稚園に通っていた娘と並び遺族として頭を下げながら思っていました。でも、参列してくれた人の殆どの方に、弟に励まされていたと告白されました。弟が病気と戦っているそう思うだけで、くじけそうな時がんばることができたよ、と何人もの人に言われました。「人に迷惑かけてばかりで嫌なんだよ俺」って言ってた弟にばかだなぁって思いました。こんなに多くの人を、会えなくても会ってなくても支えていたんだよって、言ってあげたくなりました。そしてこの事が死んでから分かってすごい悔しかった。

闘病生活は嵐のように大変で、死神が家の中を走り回っているような様相だったから、こんな簡単な事に気が付かなかった自分に腹が立つくらいでした。もっと楽しく、もっと幸せを感じて暮らしていけたのにって思いました。

この小説はそんな私の願いの一部を叶えてくれたように思います。貪欲なので(笑)この喜びを糧に、もっともっと探したいと思います。
1999年のあの日から、ずっと言葉にはできなくても伝わるものがあると信じています。言葉にはっきりとしなくても、分かってくれる人がいると信じてきました。白井さんの小説を読んで確信を持てました。
書いてくださって、弟を幸せにしてくださってありがとうございます。心から感謝致します。


この小説は

PCCからは
「パピレス」 http://www.papy.co.jp/
「PDABOOK」 http://pdabook.jp/
サイト内で「白井かなこ」と検索してくださると見つかります。

で読むことができます。

QRコードは

image002.jpg           image004.jpg            image006.jpg
    au                       docomo                  softbank

です。
(QRコードは初めて設置するので、社名とコードが違うかもしれません。auは大丈夫でした。読み込めなかったら隣のを試してみてください(^^;)


そして白井かなこさんの 電子書籍「暦がつむぐ恋物語」シリーズ 全12作品をご紹介します。

電子書籍「暦がつむぐ恋物語」シリーズ 全12作品
☆陰暦をモチーフに、甘くせつない恋をつむいだ短編小説です☆

睦月  『空の彼方』
如月  『魔法使い』
弥生  『スイート・ホーム』
卯月  『桜の下で、逢いましょう』        
皐月  『ミモザ』
水無月 『くちなしの咲く庭で』
文月  『29歳の憂鬱』
葉月  『約束』
長月  『シャンプー・オン・フライデー』
神無月 『カントクさん』
霜月  『薪ストーブ』
師走  『先生、走る』


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コメント

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「約束」を読ませていただきました。
私も肉親を亡くしていますが…こんな美しい思い出で語られることはありませんし、月夜野さんの弟さんのように高貴なかんじがする人ではありませんでした。
素晴らしい弟さんだったんですね。
同じ「月」の縁なのでしょうか、不思議な一致ですね。
月夜野さんの記事は、もう一つの約束のような気がします。
弟さんが最後幸せになって良かった、と思いました。
弟さんのご冥福をお祈り致します。

ありがとうございます

mimiさん、こんにちは♪
読んでくださって、感想をくださってありがとうございます。
白井さんが美しくしてくださいました。もっとぼんやりした子供だでしたよ(笑)。友人の心にこのように残っていたことを嬉しく想っています。コメントありがとうございます。

月夜野

東京下町在住・本・建築・ハチロク好き