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母なる証明

DVD
07 /18 2010
母なる証明 スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]
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おすすめ平均
stars静かな一撃
stars俳優が俳優に見えない…
stars後味の悪さを覚悟して
starsほぼ完璧
stars母ならばきっと・・・

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一週間レンタルになったので早速鑑賞。すごい映画でした。
私が想像していたすごいは、母がバッタバッタ人をなぎ倒してゆくようなパワフルなイメージだったのですが、この映画はミステリーという(のでしょうか)謎解きのように真実を探してゆく物語で、静かな怖さすごさがあった。

母役のキム・ヘジュの演技がすごい。最初の踊る場面からひきこまれました。すごい人だ、表情や動きに現れてくる言葉にできないものを視覚化してる演技でした。
題名は母なるーとなっていますが、現代は母、レビューを見ると母といっても母(オモニ)ではなくお母ちゃん、ママといった意味合いの題。こちらのほうが映画に合ってる。
母と子の(息子の)関係が細密に巧妙に描かれてます。この母の感情は実は母をやってる私には近いものがあって、この母の想いには馴染みがある。自分の中にも他のお母さんにも似たような感情を見ることは多々あります。
こういった女性の女としての母としての感情の発露は男の側から見ると不気味に見えるんだろうなと思っていました。監督はどんな気持ちでこの母の感情を眺めたんだろう、捉えたんだろうなどとも考えながら見ました。

なたばれになるので以下に

あのお母さんの行動、実は何の不思議もなく見た。最後の殺人の場面でも、母性としてあの行動はすると思う。そして黙っているのも驚くことではない、同じ状況に置かれたら同じ行動をとる母(女性)は多いと思う。殺人の容疑をかけられた息子を必死に守る母の行動を追ってゆくうちに、息子が過去を思い出す。どうしようもないぼんやりな息子と母との秘密がそこに現れてくる。母は息子に引け目を感じていて、息子は母に甘えきっている。
そんな中全ての町の人が無意識の意識で動いてゆく。

どうしようもなく嫌なものの連続です。その中心が主役のヘジュ演ずる母。彼女は息子の事しか考えていない、しかしそんな息子の事を考える自分の事しか考えていないのが、物語が進むにつれて分ってくる。全て自分の都合のいいように解釈し物事を進めていこうとする。そこに明確な意図がないだけに(息子の為という間接的同期が入っているために)本人でさえその悪に気が付かない。

この感情は多分どんなお母さんにもある。私にもある。初めて自覚したのは出産して半年ぐらいたったときでした。子供を持つって物事を多角的に客観的に捉える事のできるチャンスです。他者として自分を(人間を)見たときに、初めて社会の大きさや他人の思惑について考えました。そして、自分の中の闇の部分、目をつぶっていた部分が現れてきました。この自分の本心、野性的ともいえる生きる本質を子供と自分の中に感じたときに、社会や将来を考え、どう捉えてゆくかを自分で考え自分で決めないと、他者(子供や家族)によりかかったまま子育てすることになってしまう、と気が付きました。子供に自立してほしいと思うなら、まず自分が子供から自立しなくちゃならないという理屈です。色んな不可能はあるけど、いつでも子供が旅立ってゆけるようにまず親がふんばらないといけないんだと思い、今まさに一生懸命ふんばってます(笑)。

先週小学校の先生をしていたお友達とお話して、親の対応が大変だったという話しになりました。子供が友達に怪我をさせて、母親に一緒に謝ってください、と伝えました。しかし母親は自分が悪さをしたかのように怒り出し、相手の子の悪い部分を上げ連ね逆ギレして先生に抗議を始めた、というのです。
子供を育てるのには愛情が必要ですが、愛着や過度な感情の甘えをいかに断ち切るかが親として考える日々です。こんな偉そうなこと言っててもついよりかかっちゃうんですけど(苦笑)子供が誉められると嬉しいし、悪さするとへこむ、でも親ってそうやってやきもきしながら一緒に大きくなるもんなんだろなと思ったりもしてます。

この映画の母の想いの激しさ、記憶と真実を無意識のうちに作り変え自分だけの真実の物語を作ってゆくようすは、実はよく目にします。歳をとった人が多いです。目の前に真実があっても間逆の事を言い出す人もいます。
子供の頃見た嫁姑の喧嘩がそうでした、傍から見てると二人が全く別なことを言っているのが不思議でした。言った言わないから始まって、都合の悪い出来事はもみ消し、相手を攻撃するのに都合のいい事柄ばかりを挙げ連ね責める。子供心に、平行線を辿る会話の不思議を思ったことがあります。
私もそんなふうになるのかなぁ。そこには人間として生きてきた者の重みも含まれているんだと思う。結婚して姑にこれを見たとき、追求はしないことにした。姑の中ではそれが真実だしそれが彼女の中の物語なんだなと考えることにしました。そう、母はそれだけ苦労しているんですよ。

この映画にやりきれなさと、少しの同情を感じました。でもこの物語のお母さんの一番許せないところは息子が5歳の時にしたことです。あの出来事から、この母は変ってしまったんだなと思いました。




それから前作もそうでしたが、この監督の下級層の人物がいい。「吠えるー」は管理人のおじさん、この映画では廃品回収のおじさんの、怪しいけど無邪気な雰囲気がいい。語る場面はどっちも好きです。

あと母の着ている青い服が綺麗だった。文化の色だった。
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コメント

非公開コメント

抽象的な社会と具体的な人間関係

月夜野さん、こんばんは。

『母なる証明』、薦めていいものか、迷ったのですが、観てもらえてよかったです。

ラストに関して、男でしかも独身である僕には衝撃が強かったのですが、母である方には、それが腑に落ちる必然として映るのですね。

大人になってからたまに母と昔話をすると、いじめやけんかを通して僕が「嫌なやつだ」といったクラスメイトのことを今でも母は「嫌なやつ」と思い続けていると知り、複雑な気持ちになることがあります。

後から思えば、僕にも非はあるのに自分を正当化したくて相手の非ばかりを訴えてしまった。だから母と話していると「僕だって悪かったんだ」と口もとまで出かかりますがどうしても言えない。母親の愛情とその結果できあがった物語を否定することで、母の大事な何かが壊れてしまうような気がするのです。

出産してから社会について考えたというコメント。逆に男には抽象的な「社会」が先にあって、子どもが生まれてからようやく具体的な人と人との「関係」について考え始めるのかもしれないですね。
二人とも娘ができた哲学者の東浩紀と社会学者の宮台真司が父として社会について子育てについて考えた『父として考える』を最近読み、そんなことも思いました。

子供と未来

うさぎさん、こんにちは。お返事遅れてごめんなさい。

ユリイカこの後読みました。感じていたことや考えたことが同じ部分が多く、答え合わせのようにほっとしています。どこかよりどころのなさがこの監督の映画の持ち味なのですね。ブラックジョークも軽いというより明るい哀しさを感じていました。
この映画難しいです。最近難しい映画を見ていなかったので襟を正す気持ちで見ました。

男の側からすると不思議なのかもしれませんが、この感情は分るものがあります。それを絶妙な距離感で描いていると思いました。

> 大人になってからたまに母と昔話をすると、いじめやけんかを通して僕が「嫌なやつだ」といったクラスメイトのことを今でも母は「嫌なやつ」と思い続けていると知り、複雑な気持ちになることがあります。

お母さんの感情ですね。家に帰ってきた子供が話すことを母は信じてしまうんですよ。それだけではない事を知ったのは私もずっと後のことでした。自分の子供を信じることも必要だけど、それだけが真実ではないことも知っていなくちゃならないんです。繰り返し同じ子の話をしたりするときは、さりげなく周りに評判を聞くようにしています。結構自分の子がきっかけを作ってたり、他の場面では苛める子もいい子だったりするので、それが子供の面白さ良さだなぁと最近では思ったりしてます。


> 後から思えば、僕にも非はあるのに自分を正当化したくて相手の非ばかりを訴えてしまった。だから母と話していると「僕だって悪かったんだ」と口もとまで出かかりますがどうしても言えない。母親の愛情とその結果できあがった物語を否定することで、母の大事な何かが壊れてしまうような気がするのです。


この過去の執着も難しいです。うさぎさんのお母さんその時とてもうさぎさんを大事に思っていたんでしょうし、その時の感情を否定することはできないですね。子供を心配する気持ちも入っていてできあがった物語はお母さんを形作っている一部なのでしょうから、干渉するのは難しいですね。歳をとるとこういった部分が大きくなるのかなと思うようになりました。
しかし、うさぎさんが過去を振り返り自分が悪かったと思うのはすごいことです。自分の非を(特に過去の)認めるってなかなか出来ないと思います。考えないようにするとか忘れることをしないで、自分も悪かったと思うことは素晴らしい事だと思います。


高校卒業するとき進路で悩んでいた男友達が「女は最終的に結婚すればいいと思ってるけど、男はずーっと会社に勤めなくちゃならないんだよ」と言っていたのを思い出します。確かに結婚して会社を辞めていいのは女だけで男はそれができなくて、その後もずーっと社会と繋がりを持っていかなくちゃいけないんだなぁと思ったはじめでした。ここらへんの差が考え方感じ方の違いかもしれません。

子供を社会の未来として、どう育てるか内側から外側から角度を変えて色々考えられる社会や家族になりたいです。

コメントありがとうございます♪

月夜野

東京下町在住・本・建築・ハチロク好き

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