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ツリーオブライフ

映画
09 /08 2011
お友達のコメントと新聞のコメントを読んで観たくなりツリーオブライフを観てきました。
予告は何回も見ていて、不思議な映画だなぁと思っていたんだけど、不思議感だけで謎だったので興味がなかったのですが、他には無い映画ということと、最初に出てくるヨブ記の言葉で観ようと思いました。

感想は実に様々な記憶想いに囚われたという感想です。
宇宙や海、森や建物といった風景に自然の光、風、水、炎が使われている。生き物も犬(野良犬もいた)や猫、恐竜、鳥、胎児、植物、魚などこれも様々、途中まで環境映画のようになっている。そしてパンフレットを読むと出演した人たちもセリフのない脚本で自然な動きで撮影されたとある。仕組まれているようで仕組まれていない(でもそこにも意図がある)カットが無秩序と感じられるくらい脈略なく続いてゆく。最後のほうは少年の成長を追っているのだけど、その場面場面にも過去(ずっと昔の過去も含めて)との関係を考えてしまうような映画のつくりになっている。

見始めて暫くして、これは手ごわいなと思いました。素材を与えられているだけで物語を自分でこさえなくてはならない映画だと感じました。何をどう造りこむかは、自身にかかっているわけです。宗教性を重視するか、ネイチャーに重きをおくか、精神性のつながりを現しているととらえるか、そのとらえかた次第で人によってこの映画の意味や内容が変わってしまうなと、普通のアメリカ映画と思ってみたらだめなんだと思いました。ストーリーを与えられるのではなく、見て自分で作りなさいと、試されているように感じました。

そして自分が次々に感じていることが、今の自分を自覚することになり、まるで能を観てるような気持ちになりました。対照的な思想を持つ父と母、彼らの子供達は二人の間で揺れながら成長します。時々夢のような母の姿が、少年の記憶のものなのか現実のものなのか分からなくなるところが幻想的でよかった。蝶とあそぶ母、宙を飛んでいる姿はタルコフスキーの映画を思い出した。2001年のようだというけど、私はタルコフススキーっぽいところが多くあったように感じた。蝋燭の火を灯し歩くところや、母(女性)が叫び暴れるシーンなど、海辺のシーンは「大人はわかってくれない」を思いだした。


途中モルダウの曲が流れたところは泣きました。とても美しかった。カットの流れと情景がよかった。ベタじゃないところもよかった。他にも数回涙が出ました。記憶を呼び覚ます場面ばかりだった。

苦痛と悲しみと、僅かな幸福で人間は生きてる。他の生き物は?宇宙から見たらそれは何になるの?という純粋な問いの答えがここにはあるように思える。でもそれは監督が提示しているのではなく、自分で考え答えを出す物であるとも説かれている気がした。

保坂氏の小説を思い出した。人間以外の物の物語。そこに人がいないから物語にならない、という考えもできるけど、それを想像できることが既に許可していることになるのではないか、というまだ微かな答えが今僅かに濃くなった気がした。神を想像(創造)するから人は他の生物より勝っているのではなく、他の生き物よりも劣っているから我々は神を(またはそれに変わる何かを)想像してゆくしかないのではないかとさえ考えました。

ゆっくりとしたシーンが多いため、ちょっと中だるみしました。隣の人はいびきかいて寝てた(汗)すごく面白くて、楽しかったんだけど、もっとこう、感情的にくるものが欲しかった。それは物語ではなくてもショッキングな映像でなくてもいい、つきつめてゆく最後の次の段階がほしかった。ここまできたのはすごいと思った。ヨーロッパ映画ではないのだから違う部分でもっと掘り下げてほしい。

建築や食べ物時代の情景の変化が細かく現されていてよかった。最初に住んだ家と、引っ越した後の家(冒頭で次男が亡くなる通知を受け取るのは簡素な安い平屋であることから夫婦の生活のレベルが分かるようになっている)、建築家となった男の住んでいる家と職場のビル群の違いがいい。鏡張りのカーテンウォールは威圧感を与えないように空をそのまま映せるように考えられたデザインだけど、それをこの映画は美しく表現していると思った。ここまで心情を建築に投影している映画は最近少ないと思う。
母が着ている服や、皿、豆とオートミールの食べ物も気になった。

この映画には他に健常者以外の人がでてくる。何も言葉は無いけど、その映し出された情景がよかった。

それからこの夫婦は次男が大好きで長男はそれに嫉妬しているのが分かる。愛を独り占めしたいのに、母と父は次男がお気に入りで、その次男が死んでもやはり海岸の場面で二人は次男を愛している。それがさりげなく現されていて、それに対する長男や周りの心の動きが俳優だけの動きで分かるところもよかったです。

たくさん感じたくさん考えた、もう一回観たい。映画館で観てよかった。
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月夜野

東京下町在住・本・建築・ハチロク好き

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