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戦火の馬

ティーンズ
04 /08 2012
戦火の馬
戦火の馬マイケル モーパーゴ Michael Morpurgo

評論社 2011-12
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映画の原作を読書。この本とても読みやすく分かりやすい文章で描かれています。小学高学年から中学生向きだと思う。この年代層に読んでもらいたい本です。主人公は馬のジョーイ、あらすじは映画を観たのでわかっていたのですが、映画とは違う部分もあり、違った面白さを感じながら読みました。
まず最初ジョーイがアルバートの家に来るいきさつからして違います。試写会でタレントさんが父が牛を買うつもりが馬を買ってきた、と説明されてて映画と違うなぁと思ってたのですが、原作のストーリーを言っていたのだとこれを読んで始めて分かりました。映画では農耕馬を買うと変更されています。こういった違いをみつけながらまた映画を観たくなりながら読みました。

映画は映像で物語をとらえるものとすると、原作は文章で馬の人生を語っています。馬のジョーイの言葉は人間には通じません。寡黙な馬達の心を通して人間の戦争を見るこの小説は、人としての愚かさ、生き様の美しさ、そして馬と共に生きることの素晴しさにみちてます。
後書きに、作者は実際騎兵隊に参加した兵士の体験談を聞いてこの話を書いたとあります。戦争の中に馬がいる生活、前線の様子を思い描きながら読みました。

ジョーイの静かで的確な観察眼に誘導されながら物語を読み進むと、色んな人のいろんな人生が見えてきます。映画ではカットされちゃったんだけど、黒馬トップソ-ンをこよなく愛した肉屋のフリードリヒのエピソードが好きです。馬に話しかけて一人笑ってばかりいるから他の兵隊からは馬鹿だと思われているフリードリヒ、しかし彼はなきたくなるのをこらえる為に笑っていて、哀しみを紛らわせるために馬に話しかけてる。
「いいかい、連隊じゅうでまともな人間は俺だけだよ。アホウなのは自分たちのほうなのに、わかってないのさ。だって、やつらは、何のためか分からずに戦争しているんだからなぁ。頭が変だろ?着ている軍服の色が違うだけ、しゃべる言葉が違うだけなのに、どうしてそれだけの理由で人殺しができるんだ?なのに、俺のことアホだとさ!このばかばかしい戦争に来て出会ったなかで、分別があるのはおまえさんたちだけだよ…」
とジョーイたちに話かけてる。

そしてトップソーンの体調が悪くなり、獣医が彼を診てこう言います。
「こうなることはわかっていた。そう言っただろう」獣医は独り言のようにつぶやいた。「無理なんだよ。よくあるんだ。食糧不足なのに過重労働で冬じゅうやってきたんだものな。よくあることなんだ。こういった馬には耐えられないんだよ。かわいそうに、心臓をやられてしまった。みるたびに腹立たしくなる。馬をこんなふうに扱ってはいけないんだ・・・機械とは違うんだから」(P126)
ここらへんは人間の事も語ってるように思えてなりませんでした。

作者の馬に対する愛情が文章の端々に表れていて、それも読んでいて楽しかった。ブラッシングしてもらう時の嬉しさや、つめたい水をバケツに貰った時の喜び(トップソーンはかならず飲む前にバケツの中で頭を振ってジョーイを困らせる)とか、ふすまいりの干草の美味しさとか、馬の個性や生きる様子が細かく描かれているのもよかった。

最後のエミリーのおじいさんとの会話もよかったです。とくに劇的に書かれていないけど、そこには生きる喜びと悲しみと老いる辛さと、でもそれでも幸福であろうとする生き物の形を感じ取ることができる。気がつくと胸がいっぱいになって泣いてしまう、そんな小説でした。


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岩崎書店 2010-07-30
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の作者でした。去年読んだ絵本の作者でした。
この絵本も戦争についての話でした。

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世界で一番の贈りものマイケル モーパーゴ マイケル フォアマン

評論社 2005-11
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この絵本も…前線でのエピソードを思い起こすお話です。
こういった話がもっともっともっと増えると戦争は無意味だって実感できるようになると思いました。
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月夜野

東京下町在住・本・建築・ハチロク好き

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