ステーキ! - 世界一の牛肉を探す旅

まじめな本
07 /28 2012
ステーキ! - 世界一の牛肉を探す旅
ステーキ! - 世界一の牛肉を探す旅マーク・シャツカー 野口 深雪

中央公論新社 2011-12-17
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ずっと前の新聞の書評を読んで面白そうだと思って読書。ステーキが大好きな作者が世界をまわっておいしいステーキを探す旅行体験本。
自分の過去の記憶からアメリカではまれにしか出会えない最高のステーキを探そうとする作者の探究心とその苦戦ぶりは訳本でありながらも面白い観察眼で彩られていて楽しかった。テーマを決めて世界を旅行するのはこんなに面白いものかと思うくらい楽しかったです。

今までの人生で食べてきたステーキのまずさ(大半はとてもまずい)を語る作者。読んでいるうちに夫を思いだしました。夫にアメリカで食べた牛肉の話をこくと「あれは食えたもんじゃなかった。ゴム食ってるみたいなんだよ」言っています。何十年たってもその印象は変わらず、逆にそれほどまでにまずいという印象の牛肉ってなんなのかなぁと思っていました。そしてやっぱりアメリカ人もステーキまずいって思ってたんだぁと思ったりしました。

まずアメリカの牛肉を調べる旅に出ます。どのような状況で牛は飼われているのか、複数の牧場のオーナーに会い、それぞれの哲学(飼育法)聞いては食べる。そして味の違いを感じるとともに自分にとって美味しい牛肉とはなにかを考え始め、自分の味覚すら疑い始め、わ~~~っとなって世界に飛び出す。美味しいステーキはアメリカにはないのか?というショックとともに海外に旅立つ作者は滑稽なほど真剣で目が離せなくなりました。
そしてここに記されている大半の牛の飼育状況の描写は唖然とするものがありました。以前病気からアメリカ産の牛肉の輸入を規制したけれど、確かにこのような餌で(作者は餌にこだわっている)飼育状況でおかしくならないわけはないんじゃないかなと、ちょっと背筋が寒くなった。私達はいかに日ごろ食べている食品について知らないで生活しているんだなと思ったりした。

フランス行ったりスコットランド行ったり、その国の牛の飼育状況を知ることは人と社会を知ることで、調べると食に対する考え=哲学=歴史に繋がっていると感じました。フランスの理屈こねるところ(でも最後は自身の判断にまかせるところ)とかスコットランドのおおらか(おおざっぱ?)なところとかが、産業に反映してる面白さを感じました。
いろんな人に出会いながら自分の中の夢のステーキを造り上げていく作者。脂肪とはなにか、美味しいステーキとは何かを細かく具体的に考え始めてゆく。
日本に来た時は築地のマグロに驚き、オオトロとチュウトロに感激し、千疋屋の一個三ドルもするみかんに至福を感じる、面白い人になってました。オタク文化にどん引きする作者に案内した日本人ガイドは「あなたも地球の裏側から肉を食べに来たなんておかしな人ですよ」ときりかえされたりしてる(笑)。脂の乗ったステーキを喜んで食べてはいたけど、作者は原型をとどめないまでに変えてしまう日本人の発達した文化をどこかおかしいと感じてしまう。そして日本人の多くは脂の乗ったオオトロや霜降り肉はめったに食べる事のない高価な食材であること、日常的にステーキを食べるアメリカ人とは脂文化が違うことを述べて終わっています。

そして作者は牛まで飼ってしまう(^^;。そこに牛の性格や個性を発見し、最後に生き物を食べるという現実に向き合っています。

そうまでして…と思う意気込みの向こうに、様々な思い出のつまったステーキという食べ物に対する敬意を感じました。そして私も食べたくなりました。こだわりはぜんぜんないのだけれど…。

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レディースセットだったので、前菜とデザートも
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確かにアメリカ人のように豪快には食べれないなぁ(^^;
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月夜野

東京下町在住・本・建築・ハチロク好き