毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記

まじめな本
07 /29 2012
毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記
毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記北原 みのり

朝日新聞出版 2012-04-27
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一時話題になった事件のその後が知りたくて、特にこの木嶋氏のふてぶてしさ、堂々としてる姿が印象に残っていて、どうして自分の欲望の為にここまで自分自身を変えることができたのか気になって読書。
週刊朝日のコラムで連載されていた100日間に及ぶ裁判傍聴の記録が主になっています。読んでいたら夫も連載中に途中まで読んでいたみたいで色々言ってきた。けれども男としてどうもいやだったみたいで、事件そのものも書いている記者が女性であり少し偏っているところもだめだったみたいで、やめていたそうです。面白い?って聞かれて面白いよといったものの、どこがどう面白くて読んでいるのか自分に改めて問いただしながら読んでいました。

練炭自殺にみせかけた、連続殺人の犯人、木嶋佳苗。外観はけっしてよいわけではなく、でもだからこそ誘惑に負けた男の人達から次々とお金をとり犯行におよぶ。それは経過からみても迷いが無く、自分の欲に忠実になりたい者になっているように見えました。この事件を知って思いやりとか我慢とかいう陳腐な言葉よりも先に、どうしてそれができるのだろうという疑問にかられました。そしてこれだけの人をひきつけお金をまきあげることができたそのストーリー性にも興味がわきました。人は誰でも自分の中に”こうである(ありたい)自分”というのがいます。そのイメージは歳を重ねるごとに周りの人と関わりあいながら調整し理想の自分というのを造り上げてゆくものですが、彼女の場合独りよがりでありながら完璧な自分のイメージができあがってるように感じられました。すごい個人的なストーリー性を秘めた人なのではないかという考えが、この本を読んで強くなりました。

女性は違うとどこか頭の隅で思っていても嘘をつきとおし、それを自分の真実にしてしまう力があります。もちろん男の人にもあると思いますが、思い込みはある側面でそれは強いように思います。子供を産み育てる種として自分自身も変えてしまうほどの嘘がつけると感じてきました。しかしこの木嶋氏はそういった生易しいレベルでの嘘ではなく、違う次元タイプの人なのだと思いました。時々人の中には人に呪い(呪文)をかけるような人がいますが、彼女はその最たるもので、話したら最後というようなかんじをうけました。

最後のほうに生い立ちと北海道での生活が少し紹介されていて、なんとなく分かったようなでもその闇は深そうだと思いました。もっと過去を知りたいと思いました。殺人をして幸福な死と感じさせてしまう恐ろしさ、数千万をまきあげてそれでも彼女と結婚するんだと嬉々としていた被害者たちが映し出すものは、心の豊かさを潰し続けた社会の反証ではと感じました。
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月夜野

東京下町在住・本・建築・ハチロク好き