さようならタマちゃん

マンガ
11 /02 2014
最近物語が恋しくなってきたのですが、読書の時間があまりとれなくて、コミックスを何冊か読んでみました。

さよならタマちゃん (イブニングKC)
さよならタマちゃん (イブニングKC)武田 一義

講談社 2013-08-23
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闘病生活記。ガンになったアシスタントの作者が自分の治療生活について語った本。闘病生活の話は文章で読むとつらいけどコミックだとどこかすっと入ってくる部分があるので読んでみました。段階を経て投薬され続ける治療のための入院生活。そこにはいろんな人、先生、看護士、患者がいて、一つの建物の中で様々な命のドラマがある。
新人医師や看護士が注射針を刺すのがうまくない、というのは大きな病院では定石なことで、打たれるほうはたまったもんじゃないんだけど、そこらへん穏やかに描いてる。同室になった患者さんとの関係も実はとても難しくて大部屋だと他人であるうえに健康な状態ではないのだから衝突もおきやすい。そこをとても上手く描いていると思いました。ともすれば辛い苦しい痛いだけの生活なんだけど、この作者は振り明けってそれだけはない連帯感を同室の人に抱き願って描いたんだなぁって思った。
このコミックの一番好きなところは奥さんとの関係です。闘病のしんどさから辛くあったってしまった後、奥さんは過労で倒れてしまいます。回復後会って僕が奥さんに謝ると、あなたはそんなに無理をしなくてもいいのにと思っていた、と述懐します。これは長年連れ添っていた相手にしかいえない言葉です。いつもあなたをみていたから、あなたが無理をしているのは分かる、いつものあなたはそんな人じゃなかったから今まで心配だったと言ってくれる。これは一過性でつきあった人にはいえない言葉です。普通なら「いいよ、病気は辛いよね」で終わってしまうような出来事を、ずっと丁寧に夫をみてきた奥さんが今の僕について客観視してくれる。理解されているという安堵感が作者の心にわきあがってくるのが、その空気感から伝わってきます。これは夫婦のというか長年連れ添った二人の関係の醍醐味だなと、読みながら思いました。
歳をとると若くないくなるし、感情や経験は古く枯渇してゆくけど、だからこそ長い間共に生きてきたからこそ分け合えるもの認めあえるもの深さ強さに胸うたれた作品でした。
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月夜野

東京下町在住・本・建築・ハチロク好き