見てしまう人びと

まじめな本
01 /31 2015
見てしまう人びと:幻覚の脳科学
見てしまう人びと:幻覚の脳科学オリヴァー・サックス 大田直子

早川書房 2014-10-24
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新聞の書評で紹介されていた本を読書。人は意外と幻視や幻聴を見聞きしているという事柄が書かれているとあり、興味がわいて読んでみました。私も若い頃一時期不思議な物が夜寝る前に見えていて、ずっと気になっていたのでその謎も解きたかった。
作者は「レナードの朝」を書いた有名な教授で、自身の幻覚経験も語られています。これ読むとなんだか幻聴や幻覚を見るのはあたりまえな気持になってくる。でもその反面、普通の人が見えないものが見えるということが、社会的にも自我の構築の上にも恐怖になっているというのもよく分かった。脳の中の一部が過剰に働いている、または働いていないから起こる現象と分かっていても、自分はおかしくなってしまったのかと、思わずにはいられない。
そして人は物語を作る生き物なので、その現象に自分なりの解釈をつけてしまうから、尚更おかしくなってしまう。冷静に考え分析し人(オリバーさん)に話をした患者さんは皆すごいなぁと思いました。私だったら誰にも言わずに悩んでしまう。そしてそんな人が大多数だと思うので、やはり人は何かしら幻を見ているんだなぁと思ったりしました。

幻視、幻聴の様々な特徴や前兆が数多く紹介されていて、細かな分析がされているのもよかった。頭痛持ちやてんかんなどの発作の状況や、ドフトエフスキーやジャンヌ・ダルクが観た幻覚の分析など、知的好奇心が沸きました。

とても専門的なことを語りながらも、読みやすく想像しやすいのは、作者が自分の生い立ちを語りながらフレンドリーに話しかけるように書いているからなのかもしれない。そこには患者さんに対する尊敬や感謝があるのではないかと読み終わって思いました。
過去という記憶の考え方や、芸術性があるといわれるひとの脳の構造に思いをはせた一冊です。
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月夜野

東京下町在住・本・建築・ハチロク好き