キャロル

映画
03 /30 2016
先月2月14日に観た映画の文庫本も読んだのであわせて感想を

キャロル (河出文庫)
キャロル (河出文庫)パトリシア ハイスミス Patricia Highsmith

河出書房新社 2015-12-08
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前述したように映画は先月に観たんですが、これ原作読まないと感想かけない・・・ってなって読み終わるまで感想書いていませんでした。

映画はもうK・ブランシェットが綺麗で素敵でたぶんこれ以上ないキャロルなのではないでしょうか。どのシーンも素敵で嫌味がなくエレガントで、でも若くなくてその時間の分だけ素敵になっている女性。同じ女性として憧れ以上の憧れにみえる(だからこそ男の人は惹かれてそれだけ扱いにくいとかんじるだろう、それほどまでに綺麗な女性)役でした。彼女みたさにもう一回映画館行きたくなる。行っても、はぁ~ってなっちゃうだけなんだけど(笑)
観たときにそれと同時に感じたのは、女性の後半の生き方(生きづらさ)をこんなに昔から的確にクールに描いているなんてすごいなと驚いたのでした。同性愛と母子愛の話なのだけど、それだけではない、母としてまた女として歳をとってゆくときに感じるもう一つの社会の形が、すっきりと描かれているのです。日常感じていた憤りをそのまま形にしてくれているような、ああ、作者ハイスミスは既にもう”これ”を知っていた(感じ取っていた)のだなと、ひしひしと感じたのでした。
私はテレーズのキャロルに対する想いを若き恋心として共感するのと同じだけ、キャロルの(男)社会に対するいやらしい捻じ曲がった通俗的な正義を痛感している苦しみを感じたのです。この歳になると社会の男性の巧妙な手口(それは同姓に対しても異性に対しても)を目にすることが多く、特に去年までいた会社がそのような古典的なモラルが通底していて、女として屈辱的な思いをしたので余計に共感したのかもしれません(私怒ってるな)
同姓愛だけではない、生きてゆく中での無言の圧力について語っているのだなと思って、本を読んでみたくなったのでした。
映画のラストでキャロルが弁護士たちの前で言い放つせりふが印象的でした。

小説はとても面白かった。アマゾンのコメントにもあるように訳がよかったのだと思います。読みやすくて楽しかった。テレーズの繊細な心の動きが伝わってきて、些細なことなのにすごくこだわってしまうところとか、キャロルに世界が狭いといわれてあがくところとか、恋するところ、恋が愛に変わるところ、どうして彼女じゃなきゃいけないのかというところがよかった。好きってそういうことだよなぁって、昔を懐かしく思ったりして(笑)
小説ではキャロルのもっと人間らしいところがでています。そしてそれに対してテレーズがどうおもったかも。すべてが夢目物語のように進む恋愛の中で、社会と異性だけが敵として現れる。小説を読んでいるだけだと想像で終わってしまうんだけど、先に映画を観ているので頭の中で動画(映像)してみょうに生々しい想像になりました。
キャロルとテレーズの心と行動が小説の中でも鮮やかで、読後もため息がでました。
小説の中ではテレーズは写真家ではなく舞台芸術家でした。二人がドライブする過程や流れが細かく書かれていて面白かった。デンバーとかウォータールーとか町の名前もでてくる。テレーズがこのドライブ旅行によって文字通り世界を広めていくのが分かる。彼女の生い立ちも描かれています。
あとがきもよかった。というかあとがきがかなりいい。他の小説や映画もみたくなった。神秘性や謎、不確定なもののを描くのが上手なのかな。どのように世界をみていたのか作者も気になりました。

P392 男たちは子供を作れる行為かどうかで自分たちの快楽を格付けしているのかしらね。まるで子供を作る行為だからこそ快楽が増すとでもいわんばかりに。結局は心地よく感じるかどうかが問題なのに。ソフトクリームとフットボールのどちらの快楽が勝るか論じ合ってなんの意味があるというの。ベートーベンの四重奏とモナリザを比べるようなものだわ。

二人が始めて夜をともにする様子の描写も印象的でした。
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月夜野

東京下町在住・本・建築・ハチロク好き