バベットの晩餐会

ファンタジー本
04 /02 2016
バベットの晩餐会 (ちくま文庫)
バベットの晩餐会 (ちくま文庫)イサク ディーネセン Isak Dienesen

筑摩書房 1992-02
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短編で読みやすいとあったので、借りて読書。先に映画を観ているので読みやすく世界にすっと入れます。で、読み終わった後思ったのはこんなにも違う!でした。短編で映画のほうが詳細に描かれているのだろうとばかり思っていたのですが、逆でした。小説のほうが内容が濃い。というか、んー別な意味で詳細に描かれている。たぶん作者は映画ような食事の意図よりも人間性に宿った芸術性について違う考えを持っていると思う。
バベットがパリでの出来事を語るくだり、そして将軍とパパンの人間性(この時代を生きた男性という面も含めて)そしてバベットの性格。プロとしての芸術家としての誇りプライドがきっちり描かれている。
将軍のような人たちに私の技術は認められてきたがその人たちによって夫と息子を奪われたバベットがいかにいきるか、どこで自分を生かすかをどう考え行動するのか、したのか、それがすべて彼女の晩餐に現われいる。

p91 「いいえ、わたしは貧乏になることなどないのです、お話しましたように、わたしはすぐれた芸術家なのです。すぐれた芸術家が貧しくなることなどないのです。すぐれた芸術家というものは、お嬢様、みなさんにはどうしてもお分かりいただけないものを持っているのです」


エーレンガートというもう一つの物語もすごく面白かった。この人はなんだろう、何を知ってたのかな、どう生きたのかなってのが気になってくる。画家のカゾッテ氏から語られる芸術家のくだりが面白い。この話ある王族の話なんですが、一つ一つの物語の断片がものすごく人間くさくて面白い。エーレンガートは最初、端役のような従女なんだけど、どんどん魅力的になってくる。乳母とその夫との情の流れも面白い。メロドラマなんだけど、よく知ってる身近な陥りやすい情に彩られていて、物語を近く感じました。その点でいうとバベットーも食べる(不思議なものでこの物語のなかであまり献立について語らない。それに食べている人も料理について感想をあまり述べていない。それなのに食事で明らかに変わった人間の行動について語っている。映画にはなかったけど、信者の人たちは食後雪の降りそうな夜に外で駆け回り、子供のようにはしゃいでいます。そして翌日は大雪が降って誰も午後まで外に出てこなかったというエピソードまでついている)ことを通して人間の感情について語られている物語なんだなと思います。

あとがきに時代を超える物語であると書かれているのに同意しました。


追記:バベットーでパパン氏がフィリッパと歌の稽古で歌う歌がモーツァルトのオペラ「ドン・ジョバンニ」の曲
エーレンガートではカゾッテ氏に女性は誘惑すること男はそれに答えることで芸術が成立しているのだというくだりが面白かった。女性は自分の魅力を充分わきまえた上で男性に誘惑しているではないか、それを愛で答えることが男性の意味なのだという言葉を女性のディーネセンが説いているのが面白いなと思った。男女の違いやおろかさをこの人はよく知っていたんじゃないかしら、と思ったりした。
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月夜野

東京下町在住・本・建築・ハチロク好き