青と白と

現代小説
04 /07 2016
青と白と
青と白と穂高 明

中央公論新社 2016-02-24
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図書館に行って新刊コーナーでみて借りてきてふらっと読み始めて一気に読んでしまいました。
ぱらぱらとみたとき文章のかんじがよかったのと、東北の震災について語っていることに気がついたので、ちょっと読んでみたくなったというのが動機。

東京で一人小説を書きながらくらす姉と被災地にくらす妹夫婦と父母祖母、家族の物語。3.11のできごとを遠くから近くから絶妙な距離感で語っています。その空気感は一緒に日本というこの地で体験したからこそ分かる親密さで伝わってくる。読んでいると当時のことを思い出し、ああこんな感じだったよなぁって思いながら読める。つまり小説を読んでいながら自分のなかの物語も同時に体感するようなそんな現代小説でした。
大きな地震という出来事を内側から外側から感じることができました。
読んでみて思うのですが、やっぱり東京というところはああいうところなのですかね(笑)私も日々体感しています。人の立場にちょっとでも立ってはくれない。まるで他人のことを考えると負けみたいなかんじのところがある。そのくせ幼くてすぐによりかかりたくなる。プライドが高い分ひどく意固地(これは小説に書いてません)そんな印象をもっていたので、東京でのくだりはとてもしっくりしてしまった。

物語が進むつれ、母の想い妹の想いが分かってくる。だれもがそれぞれの立場で故人を想い支えあっているという姿は、物語をたどることで心が温かくなりました。死を思う、故人をいつくしむ、悲しい出来事があったからこそ、その想いは深くなるということを改めて感じました。
亡くなった叔母の出来事からは時間が、妹の仕事から市政が、争議の場面から地元性を感じました。特にタクシーの運転手さんがどれも素敵です。こんなこと本当にあったんだろうなあ。喪服についてのくだりは以前「遺体

遺体: 震災、津波の果てに (新潮文庫)
遺体: 震災、津波の果てに (新潮文庫)石井 光太

新潮社 2014-02-28
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を読んだときにもあったなぁ。

ラストのひたむきな思いもよかった。五年たったから考えられる出来事の側面を考え直す時間を機会を与えてくれる一冊です。小説は、物語はこのためにあるんだなぁと思わせてくれる物語です。
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月夜野

東京下町在住・本・建築・ハチロク好き