幸田文  台所帖 しつけ帖 崩れ

ほのぼの本
08 /27 2016
幸田文 台所帖
幸田文 台所帖幸田 文 青木 玉

平凡社 2009-03-05
売り上げランキング : 99020


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


幸田文の二冊の本を買ったままずっと読んでなくて、時間のあるときにえいやっと読みました。読めました。やっとです。多分5・6年ぐらいかかった。読めてよかった。父・露伴の娘への愛が伝わってきます。歳をとってからのコラムの集まりなのですが、食べることをおろそかにしない心使い。小学生の時に家での献立を書く宿題がでて、食べたものを書き出した文に、センスがないと書き直しさせる父、そんなことひとつひとつを丁寧に教えているところに、父の愛を感じます。こうやって書くのだから文にもその愛が伝わっていたのだろうなって思いながら読んだ。でも晩酌の出し方から、包丁の切り口まで口を出す露伴は細かすぎるというか、こだわりすぎるというか、作家としての職業的こだわりを感じます。大変だったといいながら、父の独特な感性と愛情を全身で受け止めたのだなぁと感じた一冊


幸田文しつけ帖
幸田文しつけ帖幸田 文 青木 玉

平凡社 2009-02-05
売り上げランキング : 38896


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


しつけ帖という名前がちょっと今まで敬遠してたんですが、台所帖が面白かったんで読書。これも露伴からの娘の頃の教えが多く載っています。雑巾がけからはたきの使い方。箒の使い方から、上手な心使いへの心得まで。なんともうるさい父親だなぁと読みながらも、ああ、昔の人はこうやって日常的に礼儀を心と身体にしみこませて、毎日をすごしていたんだなと、亡くなった祖母を思い出しました。台所の切り盛りがうまい文が近所の手伝いに借り出されたとき、配膳を上手にこなしたことをみんなの前で褒められて、それに嫉妬した他の女性に「あなたはお花やお稽古ごとは何もできないのよね」というような嫌味を言われ、くやしくてたまらない気持ちで帰ってきた文に、父露伴は「そのとおりだろう。くやしいとおもわずに、そうです、私にはわからないのでどうか教えてくださいと頭のひとつも下げればよかったのだ。本当のころなのだから、腹をたてずなにか一つでも教わってきたほうが得だろう」と言い返す父の言葉が大きい。
お前は桂馬筋に考えが動くからいけない、とか、印象的な言葉を多く文に残しています。14歳で母をなくし、不憫だと思った露伴は母がいないからと母親代わりもつとめた。後妻ともうまくいかなかった文を心から愛し手を書けたのだなぁと、それが偏っていたとしても、後々強く影響を与えたとしても、親として心から惜しみなく愛したことが彼女の文章からあふれでています。文さんはほんとにお父さんが好きだったのだなぁと思った一冊です。

あとがきに娘さんが、崩れへの愛情について語っていて、ああそういえば昔買った!と引っ張り出してみたのがこれ

崩れ (講談社文庫)
崩れ (講談社文庫)幸田 文

講談社 1994-10-05
売り上げランキング : 105746


Amazonで詳しく見る
by G-Tools


これ2009年8月にカルデラ砂防博物館に行ったときに買っていて、読みかけたのだけどどうもうまく読めなかったのをやっと読めました。
二冊を読んだ後だったので、文さんの感情の流れやどんな人か分かった上で読んだのでよく頭に入ってきた。そして崩れがそんなに面白いのか(笑)興奮してしまいました。夫の勧めでカルデラ砂防博物館にも行ったのだけど、いや確かにすごいけど、ねぇ。当時は子育て真っ最中だったし、そこまで視野を広げてみることはできませんでした。
でも崩れの面白さはちょっとだけど分かった、ような気がします。

IMG_8955.jpg
葉山に行ったとき長者ヶ崎に寄ってみたけど…崩れは崩れでした

圧倒的なところに彼女は惹かれたのだろうなということは分かりました。足腰が弱まった七十過ぎの身体をひっぱりひっぱりそれでも見たい気持ちで行く、ただの興味だけではできません。きっと切なる感情が求める心があったのだろうなと思います。あとがきでは父への思いもあったのではとありますがそうかもしれないと思いました。
この本、なんだか
第一阿房列車 (新潮文庫)
第一阿房列車 (新潮文庫)内田 百けん

新潮社 2003-04-24
売り上げランキング : 110387


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

思い出します。私も年取ったらなんか追及したいなぁ

読みたいと思っていた本の中に幸田文の本が三冊もあり(2008年におとうとを読んでから気になっていたみたいです)この歳になり読んでしっくりきています。彼女の個性と自分はあわないようなのだけれど、その気丈な性格とアイデンティティの形が印象にのこります。他に樹木についての文章もあるので読んでみたい。また違った形で植物についての考えが浮かんできそうです。
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

月夜野

東京下町在住・本・建築・ハチロク好き