小鳥たちが見たもの

現代小説
01 /13 2007
小鳥たちが見たもの小鳥たちが見たもの
ソーニャ・ハートネット 金原 瑞人 田中 亜希子

河出書房新社 2006-12-12
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ソーニャさんの新刊。早速読みました。今回の話は前二作とはまったく違った流れで主人公は男の子。暗くて悲しい話です。
帯にサスペンスと書かれてあるのですが、これがサスペンスなのか私には分からなかった。サスペンスを読んだことないんで、どうなのだろう…。読んだ後の第一印象はさまざまな怒りについて書かれてある本だということ。読んでるのとても辛かったです。「銀のロバ」読みたくなった(笑)。9歳の少年、エイドリアンは父にも母にも見捨てられ、祖母の家で育てられますが、ひきこもりになった叔父のローリーとあまり幸せそうでない生活を送る。
誰もが大切な何かを失って抜け殻のように暮らします。その日常が訥々と綴られていて、なんというか外国の話に思えなくなってくる。喜びの影に隠れている怒り、怒りたくないのに憤る気持ち、悲しくて湧き上がる怒り、さまざまな怒りが提示されています。
あまりに色んな怒りがあって、そのひっくり返しがないのかとかさえ思ってしまう。でもひっくり返らないのは、私たちがよく知っている現実です。なんでこんなに苦しい文章をこの人は書くんだろうと思いつつも、それを知っている自分に気づきえぐられるような気持ちになります。
ただの悲しい話じゃないと思う。今読まれる小説なのではと感じた一冊。
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月夜野

東京下町在住・本・建築・ハチロク好き